Project/Area Number |
12710016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
History of thought
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
朴 鐘祐 (朴 鍾祐) 神戸大学, 大学院・文化学研究科, 講師 (60304078)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 幕末 / 「尊華攘夷」 / 東学 / 北学 / 衛正斥邪 / 国学 / 平田篤胤 / 開化 / 国学的世界観 / 西洋受容 / 朝鮮西学 / 受容 / 排他 |
Research Abstract |
今日のアジア諸国、とりわけ東アジアの国家形成においていわば「近代化」という言説は、各々のもつ意味は大きい。これらの言説に共通するものとして、「西洋」という他者とのかかわりはこれらの諸相を探る上で重要である。本研究は、「西洋」の他者をめぐる18世紀末の日本朝鮮の両国の思想的土壌を探るものである。本研究を通して以下の点に注目することができた。 まず、朝鮮王朝の対応のあり方には三つのパタンーがみられる。一つは「衛正斥邪論」の思想で、従来の道学思想を継承しながら、18世紀台頭してきた「西学」に対抗する理論武装を試みた。二つ目は、実学思想である。実学は後に開化思想として継承発展されていく。とくに18世紀著しく実学の中心思想として発展を成し遂げる「北学」思想は、朱子学の学者たちが西洋の文物を受け入れることに積極的であった。三つ目は、民衆の中に根づいた東学思想である。東学は儒・仏・仙三教合一を標榜している。が、朝鮮の側の一連の動きは、根底には儒学の理念に立脚したものが一つに特長であろう。しかし西洋に対する対立が両極に現れることであるが、先も述べたように「儒学」を中心とする「尊華」の思想を如何に取り込むかの問題は、もう一つの視点で見なければならい。つまり朝鮮の近代化へ向かう際の思想的交錯は、単に「自己」対「他者」の二極だけではなく、さらに複雑化された様相を呈するところがあると言えよう。それに加わり、学問的様相と政治的力関係が国内のみならず、国外の力関係まで及ぶものによって一層多極的検討を要することがわかった。 一方、日本の場合は、18世紀の前半と後半は、当然のことながら異なる展開は呈する。それは国学、とりわけ平田篤胤のように世界観のような全体の枠組みで日本を位置づける学問と、横井小楠や渡辺崋山などにみられる学者たちが、幕末の変革期でそれぞれの思想を浸透しながら具現化する様相をみることができる。その際、「西洋」という「他者」の存在をより積極的に捉えられる部分において、朝鮮の様相とはさらに異なる分部といえよう。 幕末期における思想の転換とともに、社会の既存の思想的基盤が培ってきたモノが新たな受容に如可に深く関わるか、さらにその思想が向いている政治的要素にも大きな影響を受けることであることを確認できた。
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