タイにおける少数民族集団への教育普及と文化変容―山地民村落における継続的民族誌調査からのアプローチ―
Project/Area Number |
12710134
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渋谷 恵 筑波大学, 教育学系, 講師 (40312805)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | タイ / マイノリティ / 文化変容 / 教育開発 / 国民統合 / 比較教育学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、山地民に対するタイ政府の教育政策とその具体的な実施の状況を踏まえたうえで、1990年代において山地民社会の成員の教育普及がいかに進んだのか、またこうしたタイ政府による教育を山地民がどのように受け止め,対応しているのかを検討することにある。 今年度は、マイノリティ教育研究、エスノグラフィ調査に関する理論と方法論を検討しつつ、2000年に行ったフィールドワークのデータ整理を行った。また国内研究機関において関連資料および文献の収集を進めるとともに、タイ国内での再調査を実施した。 この結果、タイにおいては1990年代半ばからの教育改革、また文化政策面では地域文化が奨励されていくなかで、タイ文化への一方的な同化を求める教育・文化政策が改められ、地域差・民族差を考慮した教育が模索されていることが明らかになった。特に1999年の国家教育法の制定、またその後の教育改革の動きによって地方分権、学校教育への民族文化の導入が進められており、各学校、またNGOや各民族の団体などにより民族カリキュラム、地域カリキュラムの作成が推進されている。 タイ文部省の統計によれば、1990年代に入り学校教育を受ける山地民が急増している。本研究が継続的民族誌調査の対象としている村落においても、1990年代から2001年の調査時点までに就学率が大きく変化しており、学齢期児童・生徒の多くが学校に通うようになっている。学校教育に対する子ども、親の期待が強まる一方、民族としてのアイデンティティや独自の文化、生活様式を子どもたちに伝達したいとの希望も強く見られた。また、学校教育の普及に伴う世代間格差の進行、また民族固有の信仰、各種の儀礼に関わる伝承の衰退などの問題がみられた。 今年度は、日本比較教育学会、筑波大学教育学会等で研究発表を行ったほか、図書の分担執筆、学会誌投稿などの形で研究成果の発表を進めてきた。今後も第三世界の教育研究会、日本比較教育学会、アジア比較教育学会等で研究発表を行う予定である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(6 results)