Project/Area Number |
12710144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
白水 浩信 神戸大学, 発達科学部, 講師 (90322198)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ポリス / N・ドラマール / J・P・フランク / 後藤新平 / 衛生 / 治安 / 救貧 / 教育 / ドラマール / デュシェヌ / フランス / 18世紀 / メルシェ |
Research Abstract |
本研究は、17・18世紀西欧に展開した<ポリス(police)>から近代教育理念が形成された点を仔細に明らかにしたものである。 研究成果報告書に詳しくまとめられているように、このポリス(ポリツァイ)の理念は、わが国でもすでに、明治維新の福沢諭吉・川路利良・後藤新平らによってその重要性は明確に認識されていたものであり、こうした受容過程はドイツ官房学、そしてさらに遡及してフランス・ポリス学を抜きに考えられるものではない。それゆえ本研究もまた、フランス啓蒙期のポリスの実像をルソーや『タブロー・ド・パリ』の記述から追跡し、さらに加えて近代ポリス論の金字塔たるドラマール『ポリス論』を実地に繙くことにより、その全貌を十分具体的に示してきた。従来、わが国の行政実務論の背後にドイツ・プロイセンの行政学の影響を強調する研究は多く存在したが、本研究のように、さらにその背後に近代ポリス(ポリツァイ)論というまとまった学説史が存在し、その全容を詳細に明らかにしえた研究は管見の限り見当たらないと言ってよい。その意味でも本研究は、教育史研究のみならず、行政学説史研究に対しても大きく寄与しうるものである。さらにポリス論が特に衛生分野を重視した点をフランク『医療ポリツァイ』を中心に考察し、教育と医療・福祉の連動性をポリス論という文脈から読み解いた意義もまた強調しておくべきであろう。このように本研究は、真の意味で領域横断的な性格を有するものであり、各論として記述されがちであった教育、救貧、衛生、治安といった歴史をポリスの理念のもとに総合的に分析する視点を与え、極めて画期的な成果をもたらした。 以上のように、本研究は近代教育理念の形成を、単に思弁の域を出ない考察によってではなく、極めて具体的であると同時に、今日においてもなお行政実務家の配慮に隠微な影響を与え続けている<ポリス>という歴史的素材から明らかにし、その意義を析出した。これは教育を救貧・衛生・治安といったトータルな図柄のなかに戻して再考しようとした初の本格的研究であり、かつ近代的統治の根幹に据えられた<ポリス>的配慮そのものの教育国家論的性格を抽出した貴重な成果である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)