Project/Area Number |
12710193
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Asian history
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Research Institution | Kawamura Gakuen Woman's University |
Principal Investigator |
帆刈 浩之 川村学園女子大学, 文学部, 助教授 (40284278)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 中国医学 / 華僑・華人 / 科学 / 制度化 |
Research Abstract |
近代以降の中国医学の歴史的展開というテーマは単に医学それ自体の発展を見るのではなく、中国人社会(中国大陸及び嘩僑・華人社会)の変容というよりダイナミックな動きの中で検討される必要がある。そして、その前提として、(1)近代西洋文明(ここでは近代西洋医学)の圧力、(2)中国人海外移民の増加、という歴史事象が指摘できる。その結果、中国医学は「近代化」を推進する立場からは否定されることとなり、しかし、同時に華僑・華人の拡張に伴って中国医学も広く海外で普及するに至ったのである。 そこで本研究では大きく、(1)近代中国における中国医学廃止をめぐる問題(文献研究)、(2)海外華僑・華人社会における中国医学の現状、特に制度化をめぐる問題(現地調査と文献研究)という二つの柱にもとづいて研究を行った。(1)では「非科学的」という批判に対して、中国医学の側は「民族性」「科学性」の両面から正統性を主張し、「国粋文化」として生き残りを図ったことがわかった。また、(2)では香港、シンガポール、オーストラリアなどにおける政府主導による中国医学の制度化を検討し、その背景に中国医学の専門科学化を推進している中国の中医薬大学を卒業した専門家のネットワークの存在を確認することができた。 かつて「科学」イデオロギーによって否定された中国医学は約一世紀をかけて「科学性」を獲得し、近代西洋医学に「代替」する医学と認識されるに至った。今後、中国医学の歴史性の検討を通して、世界史上のパラダイム転換(「科学」の含意など)と中国文明の関係という文明のあり方についても考察を深めていきたい。
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