18世紀イギリスにおける小説と科学の多層的構造に関する新歴史主義的研究
Project/Area Number |
12710248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英米文学
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
吉田 直希 小樽商科大学, 言語センター, 助教授 (90261396)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 18世紀 / イギリス / 小説 / 科学 / 新歴史主義 / ジェンダー / 18世紀イギリス / 小説研究 |
Research Abstract |
本年度の研究では、新たなカルチュラルスタディーズの枠組みを構築するため、次の2項目を重点的に研究した。 1.18世紀中葉における小説/博物学の相互関係に関する研究 18世紀中葉におけるLennox, Sterne, Walpoleらの小説作品がLinnaeus, Buffon, Bonnetの博物学に与えた文学的影響について検討した。従来、科学史の分野では、博物学の誕生はBoyleやNewtonらによる実証的自然科学との対比において論じられてきた。しかし、自然科学が表面的には否定するfictionalityは、小説における文学的試みを規定すると同時に、自らのfactualityに新たな文学性を生み出していることが明らかとなった。博物学文献の検討を重点的に行い、科学の分野でいかにprobability、causalityの構築に小説的手法が用いられていたか、また語り手の客観性を獲得するためにどのような文学的レトリックが不可欠であったのかといった点に着目し、科学と文学の相互関係を解明した。 2.新たなカルチュラルスタディーズの構築 本研究の最終段階では、科学と文学の双方向的関係を解明するカルチュラルスタディーズに必要な枠組みを検討した。19世紀以降の学問としての科学、文学の専門化に対してどのような分析方法が有効であるのか、また現代における新たな学際的研究はどうあるべきなのかといった問題に対して解答を得るには、科学と文学の中間に位置する文化生産の過程に目を向ける必要性がある。そのためには、階級・人種・ジェンダーをめぐる新たな権力論を作品解釈に応用しなければならないだろう。そこで、文学/科学の制度的相互関係についての理論的考察をもとに、「『セクシュアリティの歴史』における物語的転回」を発表する。なお、今後も本研究をさらに発展させ、新歴史主義の新たな可能性を探っていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)