民事司法制度改革における裁判外粉争処理方法(ADR)と提訴権制限に関する比較法的検討
Project/Area Number |
12720028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Civil law
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
安達 栄司 静岡大学, 人文学部, 助教授 (50273157)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 裁判外紛争処理方法 / 民事司法改革 / ドイツ民事手続法改正 / 手続基本法 / ADR / 不服申立 / 合意の瑕疵 / 消滅時効の中断 / 弁護士の職域拡大 |
Research Abstract |
本年度の重点は、ADRの利用を実効的にするための強制的装置として、提訴権及び上訴権の制限についてドイツ法との比較検討をすること、ドイツ民訴法の改正論議を追って、わが国の法改正や制度改革への示唆を得ることにあった。現時点で以下のような成果が得られた。 1.わが国ではADRの国家法制度への組み入れは、ADR基本法という構想に結実している。そこでは個々の手続的規整が提案されているが、より重要なのは従来からの手続法上の基本原則がどこまでADRで実現可能か(すべきか)という問題である。この点について、手続法ドグマを直接の対象とする近時の研究(Eidenmueller, Stuerner, Hager)を手がかりにして研究することができた。 2.ADRの実効性を担保し、またその利用を強制できる鍵の一つが、ADRによる消滅時効の中断の可能性である。この問題は、従来ADR基本法の枠内で言及されることが多かった。しかし、わが国の法体系において時効法は実体法(民法)に属する問題である。この点で、ドイツにおいて民法(債務法)の大改正の中で、ADRによる消滅時効の中断を認める明文規定が新設されたことが注目され、新しい時効法体系にも関連させて研究することができた。 3.ADR活性化の目的の一つは国家司法の負担軽減である。その際の理想はADRによって紛争が終局的に解決されることである。そのためには紛争解決内容の正当性が問題になるが、ADRの場合には、(手続利用または手続結果についての)当事者の合意が正当化根拠である。しかし、当事者の合意に瑕疵が含まれる場合には後から、またはADRの利用を重くしないために初めから、ADRの結果に対する不服申立を認める必要もでてくる。この点で、不服申立制度の大改正を実現したドイツの新民事訴訟法・仲裁法をめぐる議論から示唆を得ることができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)