フランスの35時間労働制の研究-ワークシェアリングと労働社会のあり方について-
Project/Area Number |
12720037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social law
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水町 勇一郎 東北大学, 法学研究科, 助教授 (20239255)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 労働時間短縮 / ワーク・シェアリング / 労働法 / フランス法 |
Research Abstract |
本研究では、ワークシェアリングの一つの先進事例であるフランスの35時間労働制、特にそこに至る歴史的経緯と理論的背景に焦点を当てながら多面的な分析・考察を行った。 その結果、その背景には、歴史や文化に規定された経済的調整のあり方を動態的に分析しヨーロッパ的価値を踏まえた産業・経済政策の展開を唱えるレギュラシオン理論、社会的排除の問題を歴史的に分析し深刻化する今日の社会問題を克服するためには国家の政策的介入によってワークシェアリングを行うことが必要であるとする「社会性」理論、ポスト工業化の中で近代的な規制モデルが機能不全に陥っていることを指摘し柔軟で複眼的な議論・調整を可能とする法制度を構築すべきことを主張する法の「手続化」理論、近代的な労働法の構造を原理的に明かにし客体化・矮小化されている今日の「労働」概念を拡大再構築することによって労働者の主体性を回復すべきことを主張する労働法理論、人間社会における労働の意味・価値を歴史的に考察し本来人間的な価値がなく経済に規定されている「労働」を縮減して政治の復権を図るべきことを主張する政治哲学理論が存在し、これらが有機的に結びつきながらワークシェアリング政策が推進されていることが明らかになった。 これらの考察を踏まえながら、日本の労働社会の特徴および問題点(企業共同体的性格とその閉鎖性・閉塞性、労働の過重性とこれに対する無思考性)を明らかにし、21世紀の社会構造に即した日本の労働法制・雇用社会のありうべき姿(分権的で開放的な討議・協議に基づく公正で効率的な社会像)を提示した。 なお、本研究の主たる成果は、水町勇一郎『労働社会の変容と再生ーフランス労働法制の歴史と理論』(有斐閣、2001年)として公刊されている。
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Report
(2 results)
Research Products
(7 results)