私法的救済システムの機能と限界についての経済学的分析
Project/Area Number |
12730015
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
経済理論
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
加賀見 一彰 明海大学, 経済学部, 講師 (50316684)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 法と経済学 / 応用ミクロ経済学 / 手続法と実体法 / 法の有効性 / 証明責任 |
Research Abstract |
本年度は、当初の研究課題のまとめと残された課題の整理に当てられた。すなわち、「契約上の不完備性が存するときの裁判所のあり方と、その下での当事者たちの行動」というそもそもの問題についての議論を深め、幾つかの新たな発展の方向性を見いだ〓 その成果のひとつは、実体法と手続法の関わりという観点から法の有効性と有用性について捉えなおすものであり、「法の経済分析における新潮流」と題する論文にまとめられた。実体法と手続法の有機的な結合関係の重要性は古くから指摘されながら、具体的な議論はあまり展開されてこなかった。これに対して、この小論では、ゲーム理論の考え方を用いて両者の機能を整理し、その含意を明らかにした。 また、このテーマに関わるより厳密な経済理論モデル分析は、「証明責任の分配」と題する別稿にまとめられた。ここでは、検証不可能な変数について私的主体が提訴する状況を想定し、この下での裁判所の行動ルール(手続法)について分析した。そして、これまでの議論では、このような状況設定では裁判所が介在する余地はないものとして無視されてきたが、適切な手続法のもとではファースト・ベストが実現されることを示した。この帰結は、経済学と法律学の双方への重要な示唆を含んでいる。 この研究テーマは、これまでのアプローチとは前提とする状況設定に大きな隔たりがあるために、残された課題は多い。現在取り組んでいる方向のひとつは、理論モデルから導出された主張を、実際の取引関係とすりあわせることで、その妥当性を検証することである。例えば、継続的取引やフランチャイズ契約といった取引関係は、興味深いテーマとされながら、明確な分析枠組みは未だに提示されていない。手続法的なルールをビルト・インした取引関係として接近できるのではないかと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)