Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
閉曲面S上に入る射影構造、すなわち局所的にリーマン球面をモデルとし,座標変換がメビウス変換であるような幾何構造を考える.リーマン面上の射影構造全体の空間は,その上の正則2次微分全体のなすベクトル空間と同一視することができるが,リーマン面の複素構造も変形して面S上,の全射影構造の空間を考えると,タイヒミュラー空間を底空間とし,各ファイバーが正則2次微分の複素ベクトル空間である解析的バンドルP(S)が得られる.P(S)からSの基本群のPSL(2, C)表現空間への写像で,射影構造に対してそのホロノミー表現を対応させたものをホロノミー写像という.面の基本群の離散表現空間は複素力学系理論における有理関数のマンデルブロー集合に相当するものである.これを擬等角写像等の複素解析的方法と,面上の双曲構造およびPSL(2, C)表現に対応して現れる3次元双曲多様体の幾何学を用いて解析した. マンデルブロー集合の境界の解析のためには,擬フックス群の場合に射影構造の構成法の一意性を述べたGoldmanの定理を,ホロノミー表現が全退化群となるものにも拡張することが必要になった.このためには,展開写像から決まるある種の領域がリーマンのを位相的には単純に分割していることを示し,その分割から展開写像の構成法に関する情報を引き出すことが問題であった.極限集合の局所連結性は仮定できないので,古典的な平面上の等角写像の境界挙動の解析を用いた新しい手作りの議論が要求された.Goldmanの定理の拡張のためのプログラムが公表でき,いくつかのステップを設定し,リーマン面上の単連結領域に関する論文を書いた.しかし,全退化群の極限集合を考える過程で,連続体の分解可能性という概念が議論のために本質的であることにはじめて気付いた.これはgeneral topologyにおける問題であったが,それ自身膨大な研究がされている分野であると同時に,力学系の理論でも特異集合の分解可能性が問題の本質になっている場合が多い.実際,複素力学系のジュリア集合の分解可能性についてもRogersによる一連の仕事が既になされていた.それをクライン群の場合に焼き直した論文を書いた.
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