UCNボトル実験のためのUCN用固体型検出器の開発研究
Project/Area Number |
12740142
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
素粒子・核・宇宙線
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 健二 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (40272661)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 超冷中性子(UCN) / UCN固体検出器 / 荷電粒子変換膜 / UCN速度スペクトル / ^6Li含有度 / 全反射速度依存性 / 大強度UCNビーム / LiOH / 固体UCN検出器 / Si半導体 / 全反射 / 中性子検出効率 / 蒸着フィルター / ^3Heガス検出器 |
Research Abstract |
超冷中性子(UCN、E【less than or equal】02μeV)は、物質表面で全反射する特性のため精密実験にしばしば利用されるが、その特性のため検出には様々な問題が生じる。本研究では荷電粒子変換膜内での^6Li(n.α)t反応から生じるα、tを半導体部で検出する固体UCN検出器の開発と実用化を目指している。この検出器は、測定可能なUCN速度下限値、低温特性等、従来の^3Heガス検出器に比べ多くの利点を有する。前年度は、^6Li膜を蒸着したAl箔を半導体上にのせた検出器を開発し、「UCN磁気減速効果測定実験」でKUR-UCNタービンから供給されるUCNエネルギー分布等を測定することに成功した。本年度は数種の変換膜を作成し、ILL(フランス)の大強度UCNビームを用いUCN固体検出器の特性試験を行った。UCNビームはタービンからAl窓を透過して供給されるため、ビームを垂直に打ち上げ減速することでUCNの速度範囲をAl全反射速度(3.2m/s)以下にまで広げ、更に回転チョッパーを用い速度選別することで、固体検出器のUCN速度依存性測定を可能にした。変換膜には、前年度にKURで用いた変換膜の他に、LiF、LiOHをAl箔やPET箔に蒸着したものを作成した。更に^6Liの含有度を変えることで変換膜の全反射速度をAl全反射速度(3.2m/s)以下にまで広げたり、蒸着条件やビーム入射方向を変えることで表面状態を変化させたりして、最適な変換膜条件の探索を行った。様々な測定の結果として、1)^3Heガス検出器では測定不可能なAl全反射速度以下のUCNを検出できた、2)^6Liの含有度を変える等の操作でバックグランドになるVCNに対するUCNの相対的な検出効率が向上した、3)殆どの変換膜でその全反射速度依存性とは無関係に1m/s以下の速度をもつUCNを検出できた。3)については、変換膜直前に置かれたAlやNi箔によるUCNの全反射は観測できているので実際に起こっている現象である。これよりUCNの検出効率は、単に膜の平均的な全反射速度のみに依存せず、境界付近の膜の密度分布や表面の凹凸状態にも依存することが推定される。この特性は検出器としては望ましいものとなる。本研究で得られた知見はUCN検出に対し様々な応用が期待できる。申請者は「低エネルギー中性子二次元検出器の研究開発」もテーマとしており、今回得られた知見と組み合わせて、VCNやUCN領域にも応用できないかを検討している。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)