高分解二光子分光によるトラップ中の励起子の空間分布の精密測定
Project/Area Number |
12740177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中 暢子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10292830)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 励起子 / 二光子共鳴 / ポテンシャルトラップ / 亜酸化銅 |
Research Abstract |
本研究では、二光子励起により波数ゼロ近傍に生成される冷たい励起子のトラップ中での挙動を、空間分解分光によって詳しく調べた。主な成果は以下の3点にまとめられる。 1.パラ励起子の蒸発冷却:従来の一光子励起ではトラップ中でオージェ崩壊と呼ばれる二体衝突が起き、これが高密度励起子の生成を妨げている。衝突した励起子の半数は消滅し、残りの半数はイオン化されたのち主にオルソ励起子に再結合する。一方、本研究の二光子励起の方法では最初に生成される励起子の運動量が極めて小さいことを反映して、パラ励起子の二体衝突でイオン化が起こらず、オルソ励起子への変換も起きないことが明らかになった。衝突したパラ励起子の半数はトラップ障壁を越えてトラップ外に漏れ出すが、その際に運動エネルギーを運び去るため、トラップ中に残されたパラ励起子の数は減少するものの平均温度は低くなる。これは原子のボース凝縮体の生成で用いられている蒸発冷却の方法と同様の機構であり、本研究によってパラ励起子の冷却という低温高密度励起子の生成に向けた新しい可能性が拓けたといえる。 2.パラ励起子の二光子共鳴:外場の下で初めて許容となるパラ励起子の二光子遷移を用いて、オルソ励起子を経由せずにパラ励起子だけを波数ゼロ近傍に選択的に生成できることを初めて実証した。 3.二重トラップ:ストレス軸が結晶の[110]軸方向となるような新しい配置において結晶内に近接した2つのポテンシャルトラップが生成されることを、前年度に開発した3次元トラヅプ診断法により明らかにした。また、光子エネルギーの異なる2本のレーザービームを用いてそれぞれのトラップに異なる運動エネルギーを持つ励起子を注入する方法や、2つのトラップからの信号を分離して測定する方法を開発した。今後、2つのトラップに生成された励起子の再分布や密度依存性の測定などによって、パラ励起子の多体効果に関する新たな知見が得られることが期待される。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)