Project/Area Number |
12740195
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小椎八重 航 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20273253)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
|
Keywords | コバルト酸化物 / 熱電変換材料 / 熱起電力 / 数値対角化 / 軌道の自由度 / t2g軌道 / Heikesの公式 / 強相関電子系 / 軌道自由度 |
Research Abstract |
本計画では、新たな熱電変換材料として有望であることもあり注目される、NaCo_2O_4の電子状態に焦点を当て研究を行った。まず、この物質の結晶構造に基づき有効ハミルトニアンを構築した。この物質の磁性と伝導は、CoO_6八面体から構成される最密充填構造の層内においてCoの3d電子が担っている。この層の構造からすぐに理解されるのは、ハミルトニアンの運動エネルギー項のみを見たとき遍歴する電子のバンド幅が狭いことである。すなわち、この層内でCo-O-Coの結合角は90度をなしており、結果、eg軌道に入った電子は局在スピンとして振る舞い、π結合により互いに繋がるt2g軌道内の電子のみが遍歴することとなる。ここに、強いクローン相互作用が働くため、この系は強相関電子系の特徴を強く持つこととなる。もう一つコバルト系の特徴となるのが、キャリアの内部自由度の大きさである。着目している物質中でコバルトは、3価もしくは4価の価数を持ち、そのスピン状態は、低、中間、高スピン状態と、様々な状態を取りうる。さらには、その電子配置にともない、キャリアは軌道の自由度までも担うこととなる。こうしてコバルト系のキャリアは、きわめて多くの自由度を身に纏いつつ運動することとなる。このキャリアの自由度は、電子相関や運動エネルギーの兼ね合いで決まる。数値対角化法を用いて、スピンと軌道の自由度が、電子構造に、そして熱起電力にどのような形で現れるのかを調べた。また、強い電子相関とキャリアの大きな内部自由度に注目して、熱起電力に対する高温極限からのアプローチであるHeikesの公式の一般化を通して、この系の巨大な熱起電力に対して多角的に調べた。その結果は、室温付近でのNaCo_2O_4の熱起電力に対して、定量的によい一致を示し、数値的手法を用いた計算とあわせて、この系における熱起電力に対するスピンと軌道の役割を明らかにした。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)