新しい磁性超伝導体における磁性と超伝導の共存・競合に関する研究
Project/Area Number |
12740208
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
古川 はづき (川野 はづき) お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (70281649)
|
Project Period (FY) |
2000 – 2001
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
|
Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
|
Keywords | 磁性超伝導体 / 強磁性と超伝導の共存 / 金属間化合物超伝導体 / ボロンカーバイド / 自己誘起磁束格子 / 中性子小角散乱実験 / 磁化測定 / ボロカーバイド / 中性子散乱実験 / 磁束格子 / 下部臨界磁場 / 同位体ホウ素 / ドメイン構造 |
Research Abstract |
近年、我々は、新しい金属間化合物超伝導体の1つであるErNi_2B_2Cが、超伝導転移(8.6K)後、より低温(2.75K)で弱強磁性転移を起こし、この弱強磁性秩序が超伝導状態と微視的に共存することを中性子回折実験により確認することに世界で初めて成功した。この成果は、今後の強磁性超伝導体の研究分野の発展を促す非常に重要な研究成果である。本申請では、この成果を踏まえ、「ErNi_2B_2C系の強磁性と超伝導の競合・共存」について、特に「自己誘起磁束格子構造の検証」を目的とする研究を行なった。「自己誘起磁束格子構造」とは、外部磁場を掛けなくても、強磁性成分が作る内部磁場により、系が自発的に磁束格子構造をとる現象を指す。強磁性秩序がスピン1重項超伝導と共存するには、超伝導と強磁性の秩序パラメターが空間的に変調しなければならないが、その解の一つが、ゼロ磁場下での自己誘起磁束格子構造である。 本研究で行なった磁化測定の結果は、ゼロ磁場下で系を冷却すると、強磁性のドメインがランダムな方向を向くために内部磁場がゼロとなり磁束格子が出現しないが、系を磁場中で冷却し強磁性のドメインを揃えると、その後、磁場を切っても内部磁場が有限となって残り、自己誘起磁束格子が出現する事を強く示唆した。我々は、この結果を踏まえ、さらに、磁束格子の空間相関を直接観測することができる中性子小角散乱実験を行なった。その結果、この系で自己誘起磁束格子構造が実現していることを強く示唆する結果を得た。この結果は超伝導と強磁性の共存状態の理解にとって非常に重要である。本研究成果に関する論文を3編書いたが、うち2編は、現在、閲読中である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)