Project/Area Number |
12740225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
島 弘幸 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40312392)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 量子ホール効果 / 複合粒子描像 / 量子輸送 / ランダム磁場 / 2次元電子系 / 局在非局在転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、分数量子ホール系のv=1/2点における正の磁気抵抗の物理的起源を明らかにすることである。v=1/2状態は平均場近似でのエネルギーギャップが消失する特異点であり、2次元フェルミ金属との単純なアナロジーからは説明できない現象が数多く報告されている。特にv=1/2近傍で現れる正の磁気抵抗についてはその原因が未だ理解されておらず、これを現存の複合フェルミオン描像の枠内で説明できるか否かを明らかにすることが急務とされている。 偶数分母状態における特異な物性は、ゲージ場の揺らぎがその本質であると考えられる。しかし複合粒子の輸送特性についてこれまでに行われた数値的研究はその多くが準古典論の域にとどまっており、場の揺らぎが与える量子論的効果に注目した研究例は非常に少ない。特にゲージ場の空間分布の時間的変化が電子輸送に与える影響は分数量子ホール系の輸送特性を理解するうえで非常に重要であるが、従来の数値計算手法では取り扱いが困難である。そこで本研究では、ゲージ場の時間的揺らぎ・電子相関効果などを正確に取り扱うことのできる数値計算アルゴリズムを独自に開発し、この問題に適用した。この計算法は周期的外場に対する系の共鳴を利用するという独自のアイデアにもとづくものであり、厳密対角化では取り扱いが困難な大規模の量子系応答関数を容易に求めることができる。また、開発した方法は久保公式で記述される動的応答関数一般に広く適用可能であるため、スピン励起や電子相関効果を含む系など多様な量子状態の応答関数を取り扱うことができる。さらに本方法は低周波数・長波長領域に対する精度の高い計算が可能である。 計算の結果、長距離相関を有する不規則磁場系の電流-電流相関関数II(q,ω)および密度-密度相関関数χ(q,ω)は長波長・低周波数領域で特異性を持ち、ゲージ場の揺らぎは磁気抵抗の振る舞いに大きな量子補正を与えることが明らかとなった。さらに、整数量子ホール系の臨界点近傍における交流伝導度σ(ω)の振る舞いとの対比から、低周波数領域におけるσ(ω)の線形減少は速度-速度相関関数の長時間べき〈υ(t)υ(0)〉∝t^<-2>を反映したものであることを明らかにした。これらの計算結果は従来の研究報告が前提としている準古典近似では説明がつかない。すなわち、偶数分母状態の輸送特性における量子干渉効果の重要性が我々の研究で初めて明らかとなった。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)