反強磁性的スピン揺らぎを媒介とする銅酸化物高温超伝導機構に特有な不純物効果の研究
Project/Area Number |
12740229
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大橋 洋士 筑波大, 物理学系, 講師 (60272134)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 反強磁性的スピン揺らぎ / 非磁性不純物効果 / 銅酸化物高温超伝導 / 亜鉛不純物 / d波超伝導 |
Research Abstract |
平成12年度の研究計画に基き、銅酸化物高温超伝導体超伝導相における、反強磁性的スピン揺らぎのスペクトルに対する非磁性不純物効果を研究した。その結果、この超伝導体で期待されているd波超伝導の場合、不純物散乱がユニタリティ極限にあると、不純物近傍に低エネルギー束縛状態が形成され低エネルギーの状態密度が増大、それに伴い、反強磁性的スピン揺らぎが超伝導状態下にあっても低温で増大することを見出した。 これに対し、不純物散乱がボルン散乱で記述される場合は、不純物近傍に低エネルギー束縛状態が形成されない為、ユニタリティ極限の場合のようなスピン揺らぎの増大は見られず、反強磁性的スピン揺らぎのスペクトルは全エネルギー領域で抑えられることが分かった。 ユニタリティ極限における本研究結果は、ZnをドープしたYBa_2Cu_3O_7に対する中性子散乱で観測された、反強磁性的スピン揺らぎの低エネルギースペクトルの増大の実験結果と一致する(Znによる不純物散乱はユニタリティ極限にあることが実験的に知られている。)。更に、低エネルギーのスピン揺らぎの増大により、銅サイトにおける核磁気緩和が低温で増大することをも理論的に示したが、この点についても、それを裏付ける実験結果が、最近、ZnをドープしたYBa_2Cu_3O_7、YBa_2Cu_4O_8において得られている。従って、Znをドープした銅酸化物高温超伝導に見られる反強磁性的スピン揺らぎの異常の原因は、上述した機構に因るものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)