ヘムタンパク質に結合した一酸化炭素分子の振動エネルギー緩和の動力学
Project/Area Number |
12740307
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
信定 克幸 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50290896)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | ヘムタンパク質 / 振動エネルギー緩和 / 電子状態計算 / 反応動力学 |
Research Abstract |
一酸化炭素が結合したヘムタンパク質を対象として、一酸化炭素からヘムタンパク質側に流れた振動エネルギーがどのような経路を辿って緩和していくのか、その動力学的研究を行った。先ず対象とする系を一酸化炭素が結合した鉄-ポルフィリン(ヘム)部分とタンパク質の部分に大別する。鉄原子を含む分子は一般に、強電子相関系の最も典型的な例の一つであり、電子相関の取り込みの程度によって、定量的議論のみならず定性的議論でさえも大きく異なってしまうことが多い。この点を踏まえ、鉄原子の3d、4s電子の電子相関を十分に取り込むことに重きを置き、高精度電子状態の計算を行うことにした。但し、ヘム部分の全ての原子に対して同様の高精度計算を実行することは事実上不可能なので、鉄原子に直接結合している部分系とその他の部分系に更に大別し、前者に対して特に精度の高い計算を実行した。大域的なポテンシャルから次のことが分かった。鉄原子はヒスチジン側鎖のイミダゾール環と弱く結合しており、一酸化炭素からヘム部分流れた振動エネルギーは、この弱い結合を通じてタンパク質側に流れると考えられる。 電子状態計算と同時に動力学の計算にも着手した。ヘムタンパク質のような大きな分子系の場合、複数の電子状態が関与した電子的非断熱遷移を起こすことが多い。この電子的非断熱遷移を取り込むための方法論の開発を行い、更に簡単な化学反応系において反応機構を定性的に理解するため方法論も開発した。今後は、今回開発した方法論を使い、電子的非断熱遷移を伴った振動エネルギー緩和の詳細な動力学研究に発展させることを計画している。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)