発光法によるフラーレンおよびナノチューブ生成過程の直接観測
Project/Area Number |
12740317
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡崎 俊也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90314054)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 金属内包フラーレン / 高速ビデオ観測 / EELS / カーボンナノチューブ / TEM / peapod / サマリウム |
Research Abstract |
(1)金属内包フラーレンをドープした単層ナノチューブ(SWNT)を合成することに世界で初めて成功した。ガドリニウム金属内包フラーレン(Gd@C_<82>)を含んだSWNTの走査トンネル分光測定を行ったところ、半導体SWNTのバンドギャップがナノメートルスケールで変化していることがわかった。これはこの物質が量子ドットをもつナノワイヤーとして非常に有望であることを示している。また、ナノスケールのサンプルセルとしても有用であることも実験的に示した。例えば、Gd@C_<82>をドープしたSWNTを透過型電子顕微鏡(TEM)観測すると内包されているGd原子ひとつひとつを見ることができる。さらに、化学反応のダイナミクスをリアルタイム観測することにも成功した。これら一連の研究は国内外で高く評価され、日本化学会年会、アメリカ電気化学会年会などで依頼講演を行った。 (2)これまでよく合成・研究されている金属内包フラーレンのほとんどは、ランタン原子など、内包原子からフラーレンへと電子が3個移動するものであった。これに対し我々は、それら典型的な金層内包フラーレンとは異なった電子構造を持つ、サマリウム(Sm)やチタン(Ti)を内包した金属フラーレンの合成、単離に、世界で初めて成功し、EELS等を用いてその電子状態を系統的に調べた。これらの研究結果から、Sm,Ti内包フラーレンでは中心原子から移動する電子が2個以下であることを明らかにした。ここで単離されたSm,Ti内包フラーレンは様々なバンドギャップを持っており、特にSm@C_<78>はギャップが0.5eVしかなく、これまで単離されているフラーレンのなかで最も小さいバンドギャップをもつことがわかった。さらに、金属内包フラーレンの電子構造のフラーレンケージ依存性を定性的に説明できる熱化学サイクルモデルを提唱した。 (3)パルスアーク放電法によるカーボンナノチューブ生成過程を吟味した。具体的には高速ビデオカメラによって、ナノチューブ合成現場を時間分解観察し、放電パルス幅依存性を調べた。その結果によると、ナノチューブの収率のよい条件(パルス幅3ミリ秒程度)では、温度の高い炭素クラスターの雲が比較的長い間(数百ミリ秒)存在していた。これよりナノチューブの生成には数百ミリ秒の比較的遅いタイムスケールでの現象が重要であることがわかった。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)