Project/Area Number |
12740318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊谷 純 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (20303662)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 原子トンネル反応 / 水素引き抜き反応 / 高選択反応 / ESR / ENDOR / ESE / ネオペンタン / エタン / neopentyl radical / ethyl radical / ESEEM / Selective Tunneling Reaction / librational motion |
Research Abstract |
エタンを溶質として2%含む極低温固体ネオペンタンを放射線照射すると、30K以下では溶媒のネオペンタンラジカルばかり生成するが、40〜100Kではわずか2%しか含まれていない溶質のエチルラジカルが高選択的に生成する。これらのラジカル生成は、照射によって生成した水素原子による溶媒・溶質分子からの原子トンネル水素引き抜き反応であるが、その選択制を支配している因子についてはこれまで全くわかっていなかった。本研究では、電子スピン共鳴法に加えて電子核二重共鳴法(ENDOR)・電子スピンエコー法(ESE)を用い、生成ラジカルの周囲のマトリクスの状況及び生成ラジカルの運動性の温度依存性を評価し、水素原子トンネル引き抜き反応における反応分子周りの局所環境を評価した。ENDOR測定には、スウェーデン・リンショッピング大学のLund研究室のBruker E580-ENDOR分光器を、電子スピンエコー測定には、日本原子力研究所先端基礎研究センターの日本電子PX-1050パルスESR分光器を用い、4.2Kおよび77KでX又はγ線照射した試料の溶質および溶媒のスペクトルを4〜77Kで測定した。その結果、溶媒及び溶質の周りのネオペンタンマトリクスは4〜77Kで変化がなく、反応性の温度依存性はマトリクスの変化によるものではないことがわかった。ネオペンタンの運動性もこれらの温度範囲で殆ど変化しないのに対し、溶質のエタンは4.4Kではほぼマトリクス中に固定されているものの6Kで動き出し、温度が上昇するに連れて40Kまで徐々にその運動性が大きくなることをENDORから見出した。40K以上でその運動性はさらに激しくなってENDORスペクトルの観測が難しくなった。従って、溶質とのトンネル引き抜き反応が40K以上で溶質選択的になることは、溶質分子の運動性が激しくなることによって、水素原子とエタン分子が水素引き抜き反応の最適配置をとる確率があがることを意味している。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)