Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
金属蛋白質が金属酵素や電子伝達蛋白質として働くためには、金属-蛋白質間の結合制御が重要であると考えられている。生物無機化学の分野ではモデル金属錯体を使った実験で、配位子に対する水素結合の重要性が指摘されているが、実際の金属蛋白質では不明な点が多い。その理由は蛋白質結晶解析では、通常「金属・炭素・窒素・硫黄」のみの位置情報しか得られず、機能制御に重要である水素原子の正確な位置を求めることが出来ないからである。そこで大型放射光施設Spring-8の高輝度X線を使って亜鉛酵素と鉄・硫黄蛋白質の1.0Å分解能を超える超高分解能構造解析を行い、水素結合の役割を直接確認し、金属蛋白質に特有の結合性制御機構を実験的に解明することを目的としている平成12年度には放線菌S.caespitosusが産出する亜鉛プロテアーゼの構造精密化計算を行った。平成13年度には、もう一つのターゲットである植物型フェレドキシンの超高分解能構造解析を行った。用いたのは、高等植物である杉菜由来のフェレドキシン哩(FdIIである。杉菜Fdllの結晶はリン酸緩衝液を沈殿剤に用いて、ハンギングドロップ蒸気拡散法により調整した。大型放射光施設Spring8に設置されているたんぱく質研究所専用ビームラインを用いて1.2A分解能までの回折強度データをR-merge 6%の精度で収集している。現在、高分解能用精密化プログラムSHELXL97を用いて構造精密化中である。異方性温度因子を導入して計算したところ、約3残基にマルチコンフォメーションが確認された。今後、このフェレドキシンの活性中心である[2Fe-2S]クラスターの立体構造に着目し、高分解能での精密化解析を行っていき、機能を制御する水素結合の直接、間接的な確認を行っていく予定である。
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