葯が裂開しない表現型を指標にしたジャスモン酸シグナリング関連遺伝子の単離と解析
Project/Area Number |
12740437
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
植物生理
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石黒 澄衛 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50260039)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | DAD1 / 葯の裂開 / シロイヌナズナ / ジャスモン酸 / 花糸 / 水の移動 / OPDA reductase / 雄性不稔 / ホスホリパーゼA1 / リノレン酸 / 傷害誘導 |
Research Abstract |
ジャスモン酸は開花時における葯の裂開、果実の成熟、塊茎の形成、病害虫抵抗反応の活性化など高等植物の示すさまざまな現象を制御する生理活性物質である。開花時に葯の裂開が起こらないシロイヌナズナの突然変異体を用いた昨年度の研究で、ジャスモン酸生合成の最初の段階を触媒する酵素DAD1を同定していたが、この酵素はジャスモン酸の生合成経路全体の律速段階だと推定される重要な酵素であり、世界に先駆けての発見となった。さて、自家受粉する植物にとって葯の裂開が開花と同調することは、効率よく種子形成を行うために重要なことである。そこで、葯の裂開がどのような仕組みで制御されているかさらに解析することを目的として本年度の研究を行った。DAD1プロモーター::GUS融合遺伝子をシロイヌナズナに導入し、発現場所と時期を解析した。その結果、この遺伝子は花糸に特異的な発現を示し、開花2日前の蕾から発現が始まり、開化前日にピークに達した。DAD1遺伝子が発現する時期は葯室の脱水が進行する時期とほぼ一致しており、ジャスモン酸が花糸の細胞に吸水を促すことによって葯から花糸への水の移動を制御していることが強く示唆された。また、dad1突然変異体では開花(花弁の伸長)そのものも遅れることから、ジャスモン酸が花糸だけでなく花弁の細胞にも吸水による伸長を促すと推定した。以上の結果をもとに、ジャスモン酸の作用で花糸や花弁が伸長して開花が起き、それと同時に水を吸い出された葯が裂開するというモデルを提唱した。 このほか、新しく単離した突然変異体についても解析を行い、そのうち少なくとも2個がジャスモン酸生合成に関する遺伝子の突然変異であることを明らかにした。そのうちの1個の原因遺伝子はOPDA reductaseであった。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)