Research Abstract |
平成9年度科学研究費補助金により作製した実験装置を改良し,実験計測を行った.実験装置は,旋回流発生装置の後に測定部として内径:D=100mm・長さ:L=6000mmの円管を設置し,約3.4m^3の整定室・ISA1932ノズル流量計・約1.7m^3の整定室・送風機で構成される吸い込み型である.本研究の目的を達成するには,LESの入口変動風の生成に不可欠な各方向速度の変動成分の瞬間値及びパワースペクトルとクロススペクトルを計測する必要がある.そのためX型熱線を使用した.円管内の流れ場計測に適したX型熱線プローブを作製する際,支持針の形状・2本の熱線の長さ・取付角度・間隔が重要となる.そこで,顕微鏡に微動装置を新たに組み込み,素線(5μタングステン線)を支持針に半田づけする装置を改良した.具体的には,素線の引張り,半田ごての移動,余分な素線の切断作業を,手から微動装置による操作に変更した.この改良で,熱線プローブの形状精度が向上した.更に,X型熱線用検定風洞の改良,計測時の熱線の向きを変える回転部分の改良を行った. 同時に,旋回乱流の予測精度に優れているLESを用いた計算コードの構築を進めた.基礎となる計算コードに「次世代乱流解析ソフトウェア研究会」が公表している「差分法LES」を用いることで,開発期間の短縮を実現した.円管中心部分の特異点の取り扱いにKnut Akselvoll & Parviz Moinの方法を用い,計算コードをデカルト座標系から円柱座標系に変更した.この計算コードを用いて,十分発達した円管内乱流の計算コードを構築した.更にモンテカルロ法に基づく星谷勝の方法を用いて,目標とする変動成分の分布と各点のパワースペクトルを基に変動風を生成する計算コードを開発した.
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