Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
これまで電子波デバイスにおいて多重バリヤ構造を利用する場合,多くは単純な周期構造が用いられていた.しかしながら単純な周期構造では,所望のエネルギーを持つ入射電子波に対して,十分な透過率が得られず,エネルギーフィルタとしての性能は不十分であった.本研究では,多重バリヤ構造を表現する電気的等価回路を利用して,帯域通過特性を持つ多重バリヤ構造を設計することを可能とした.これにより,所望のエネルギーを持つ電子波の透過率は大きく向上した.また,従来用いられている周期的な多重バリヤ構造における電子波束の伝播と,提案した多重バリヤ構造における電子波束の伝播を時間域シミュレートし比較した.その結果,提案構造における電子波束の伝播は,従来構造における電子波束の伝播に比較して,多重バリヤ構造内でのトラップ時間が非常に短いことを示した.この性質は,電子波デバイスの高速動作という面から非常に重要であると考えられる.さらに,バリヤ高さ変化型電子波エネルギーフィルタ,左右非対称電子波エネルギーフィルタについて検討して,その設計法と基本的性質について明らかにした.バリヤ高さ変化型多重バリヤ構造が,電子波エネルギーフィルタの構成に有効であることを示した.また,これまでの多重バリヤ構造に関する研究の多くが左右対称構造についてのものであるが,実際のデバイス動作時には外部電圧の印加によりポテンシャル形状が左右非対称となる場合も多いことから,左右非対称構造による電子波エネルギーフィルタ構造の設計を試みた. この研究により得られた結果は,共鳴トンネルデバイス,量子カスケードレーザ,量子細線デバイス,量子箱デバイス等における電子波の制御にとって有用な情報を与えるものと考えられる.
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