Research Abstract |
工業分野における塗装面,紙面,金属板などの品質向上のために,人間の視覚に基づいてその表面粗さを非接触で計測することが注目されている.本研究では光強度を測定するのではなく,回折現象を利用した被検面の微細形状の計測と,被検面にあるパターンの影を投影したときのコントラストの測定を組み合わせることで,人問の視覚に基づく新規的な粗さ計測システムを開発する. 平成12年度までで,様々な被検面に対して,表面粗さと人間の視覚に基づく表面粗さとの関係を調べた結果,被検面の微細な表面形状が影響を及ぼしていることが分かった.そこで,同年度は,モアレトポグラフィ法による三次元形状計測装置を開発した.この計測法は計測精度が数百μmで,広範囲におよぶ形状を短時間で非接触計測できる点が特徴である. しかしながら,モアレトポグラフィ法では計測精度が低いため,平成13年度は,回折現象を用いて被検面の微細形状を計測し,測定精度を向上させる.まず研究の第一段階として,微小な開口を測定した.凸レンズの前側焦点面に微小な開口を設置し,これを波長633nm,出力10mWのHe-Neレーザで照射する.このとき,後側焦点面には開口の回折パターンが現れるので,これを結像レンズをはずしたCCDカメラで撮影し,画像ボードを介してコンピュータに取り込む.実験の結果,数十μm程度まで測定可能なことが分かった. また,上記の実験とは別に様々な被検面を観察した結果,人間の視覚に基づいた表面性状は,被検面の半透明さに依存しているようであった.そこで,被検面の半透明さを定量的に評価する方法として,被検面にあるパターンの影を投影し,そのコントラストにより評価することを考案した.ガラス製格子パターンにハロゲンランプで光を照射し,様々な被検面に現れる影をCCDカメラで撮影した結果,被検面の半透明さとコントラストに関係があることが分かった.
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