Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
社会資本成整備事業が,その定義からして,仮に民間主導という形態になろうとも,公共によるコントロールが不可欠であり,それは公共を依頼人,事業主体の民間を代理人とする構造に変わりないことを問題意識として12年度と13年度にわたって本研究を進めた. 12年度は以下の2点について重点的に取り組んだ.第一は,独立採算型のPF1事業を念頭において,政府が依頼人として料金と利用者の効用についてのスキームを提示して,そのもとで代理人である民間事業者が事業を行う場合の事業の成立可能性について分析した.第二に,他の事業方式も含めた様々な方式において,便益帰着分析のフレームで公的支援の範囲と妥当性について検討した. 事業成立可能性についての分析では,事業を取り巻く経済環境について好条件時と悪条件時が確率的に生起するものとし,そのもとで民間事業者が出資および融資により資金を調達可能であることを成立可能とした.事業の収益性が民間事業者と政府が合意する料金スキームに依存し,かつ,リスクを伴りことを明示した応用ミクロ経済モデルにより比較静学分析と数値実験により分析した. 公的支援の分析では,各事業方式のもとでの社会的便益を便益帰着構成表で表現し,民間事業者の採算性と社会的効率性の両面についての制約のもとで実行可能な公的支援の上限を検討した.ただし,今回の静学のフレームでは民間事業者がオプションを持つ場合の便益帰着などを扱えないため,知見は非常に限定的であることがわかり,この点について来年度取り組むべきことが明らかになった. 13年度においては,不完備性という概念のもとに,事業実行主体を受注者として位置付けて,その決定システムに焦点を当てた.これは従来から不完備情報ゲームの典型である入札モデルとして研究されてきた問題である.本研究では,従来の入札モデルの研究と異なる点として,事業の遂行に複数種類の技術が必要となる場合の入札システムの考察,事業段階を分割して発注する場合と一括して発注する倍の比較考察,そして,受注者決定後に締結される契約の不完備性が入札システムに及ぼす影響の考察という主に三つの論点を取上げて研究を行った.これらの論点は,社会資本整備事業の事業方式がより一層多様化していくことが予想される今後において一層重要性をもつものである.
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