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¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究では,疲労き裂発生過程に焦点を絞り,原子間力顕微鏡(AFM)を用いて疲労過程その場観察を行い,突出し/入込みからき裂に至る過程をナノオーダーの変化として定量的に評価することを目的とする.疲労初期過程は材料の組織や特性に敏感であり,かつ,破断寿命のほとんどを占めるものの,現象的に未だ不明な部分が多い.今年度は固溶強化,析出強化といった種々の冶金的強化方法により強度を変化させた実験室溶解鋼を面外曲げ両振り疲労試験に供試し,実用上問題となる長寿命域の応力レべルにおいて,適宜繰り返し負荷を中断,走査型電子顕微鏡観察と原子間力顕微鏡による表面プロファイル変化測定を通じて,一回の繰り返し応力で生じる現象を検討した.本年度までに得られた知見を下にまとめる. 1.AFMにより破断寿命に比べて極めて初期の10^3回(N/Nf=0.001)の繰り返し数からフェライト粒表面に50nm程度に成長したすべり帯の三次元プロファイルが定量的に測定でき,その2000回毎の成長が測定できた. 2.すべり帯の成長は速いもので500nm/20000cycle=0.25Å/cycle程度であり,一回の負荷ではその不可逆性は起こっていない. 3.低炭素鋼ではフェライト粒表面に発生するすべり帯は500nm程度まで成長し,粒内及び粒界のき裂発生に大きく関与する. 4.すべりに対する影響の異なるSi及びNiを固溶したフェライト-パーライト鋼でそれぞれに特徴的なすべり帯が観察された. 今後は,変形現象である突出し/入込みから破壊現象であるき裂の生成への変化過程を支配しているクライテリオンを検討する.また,それら過程は結晶粒径に強く依存すると考えられるため,材料間の比較解析も併せて行う.
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