Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究ではアゾアレーン誘導体を支持配位子とする新規な10族金属錯体を合成し、配位子の光異性化により金属中心上の配位座を可逆制御することを目的として研究を進めた。 可逆的な構造変換を実現するためにはアゾアレーン誘導体が金属中心から完全解離しないようにするため、配位子を非対称2座配位子とし、これを金属中心に結合する方法として、(1)強固な共有結合と弱い配位結合によるXL型配位子(2)強固な配位結合と弱い配位結合によるLL'型配位子の2種類の方法について検討を行なった。 (1)XL型アゾアレーン配位子としてはHOC_6H_4N=CHC_6H_4OMe-4, 4'(1), HOC_6H_4CH=NC_6H_4OMe-4, 4'(2), HOC_<10>H_6N=NC_6H_4OMe-4, 4'(3), HOC_<10>H_6N=NC_6H_4SMe-4, 4'(4)を合成し、水素化ナトリウムとの反応により対応するナトリウム塩へ誘導した後にPtMeCl(cod)とのメタセシス反応により、新規錯体Pt(Me)[OC_6H_4N=CHC_6H_4OMe-4, 4'-k^2O, N](cod)(5)PtMe[OC_<10>H_6N=NC_6H_4SMe-4, 4,'-k^3O, N, S](6)を収率71%および69%で合成した。しかし、これらの錯体は可逆的光応答は示さないことが明かとなった。 (2)LL'型アゾアレーン配位子としてはMe_2NC_6H_4N=NC_6H_40PPh_2-4,4'およびMeSC_6H_4N=NC_6H_4OPh_2-4, 4'をジアゾカップリングによりそれぞれ収率90および56%で合成した。これらの配位子とPtMe_2(cod)との反応を行ない、前者との反応の場合には収率27%で新規錯体を合成・単離し、X線結晶構造解析によりその分子構造を解明した。構造解析の結果は白金1分子当たり2分子のアゾアレーン配位子が配位したcis-PtMe_2(PPh_2OC_6H_4N=NC_6H_4NMe_2-4, 4'-κ^1P)_2であることを明らかにした。この錯体はTHF溶媒中において412nmに極大吸収を持ち、そのモル吸光係数は3.1x10^4[L/mol cm]であった。この錯体に超高圧水銀灯により紫外光を照射したところ、364および482nmに等吸収点を持つ可逆的な光応答が観測された。この時の異性化速度定数は20℃において6x10^<-4>s^<-1>であった。
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