Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
魚類普通筋ミオシン軽鎖は,電気泳動における分子量の違いから,高等脊椎動物と同じパターンを示す白身魚グループ(A1軽鎖>DTNB軽鎖>A2軽鎖),カツオ,マサバ等サバ科グループ(A1軽鎖>A2軽鎖>DTNB軽鎖)およびイワシ類・アジ類のグループ(A1軽鎖>A2軽鎖≒DTNB軽鎖)に分けられ,特に低分子の必須軽鎖(A2軽鎖)における種特異性が大きいことがすでに報告されている。このような種特異性の背景を探るために,まず各種魚類ミオシン軽鎖のcDNAクローニングを行い,それらの全一次構造を決定したところ,A2軽鎖のN-末端側の構造に魚種間で顕著な相違があることを演繹されるアミノ酸配列から明らかにした。つぎに,一次構造を決定した魚種(トビウオ,シログチ,カツオ,マサバ,マイワシ,マアジ)につき,大腸菌を用いて発現ミオシンA1およびA2軽鎖の精製を試みた。そのうち,発現タンパク質として効率よく精製できたシログチ・ミオシンA1およびA2軽鎖を用いて,別に調製したスケトウダラ・ミオシンとの間でハイブリダイゼーションを行い,ハイブリッド・ミオシンの生化学的性状を検討したところ,得られたスケトウダラ・ミオシン重鎖-シログチ・ミオシンA1軽鎖によるハイブリッド・ミオシンとスケトウダラ・ミオシン重鎖-シログチ・ミオシンA2軽鎖によるハイブリッド・ミオシンとの間に熱安定性の相違を認め,ミオシンA1軽鎖とA2軽鎖はミオシン機能の発現において異なる影響をもたらすことを見出した。 つぎに,従来ほとんど調べられていなかった魚類血合筋ミオシン軽鎖のcDNAクローニングを行い,普通筋ミオシン軽鎖との性質上の相違点を一次構造レベルで検討した。魚類の血合筋ミオシン軽鎖は,普通筋とは異なり2種類の軽鎖(D1およびD2)しか存在しない。その結果,魚類血合筋ミオシンD1軽鎖は普通筋ミオシンA1軽鎖が有するN-末端側の特異配列,いわゆるDifference peptideに極めて類似した構造を持っていたことから,機能的には普通筋ミオシンA1軽鎖と同等の性状を示すものと解釈されたが,その全一次構造を比較すると,普通筋ミオシンA1軽鎖とA2軽鎖の中間タイプであることが認められたことから,血合筋ミオシンD1軽鎖は普通筋ミオシンA1軽鎖とA2軽鎖の両方の役割を一手に担っている可能性も新たに示唆された。
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