Research Abstract |
(1)昨年と同じ地区で調査をおこなった。パンケウレトイ川流域の土地利用は、上流部に農地(改修河川区間)、下流部に林地(自然河川区間)が展開している。この河川で定期的に採水(自然河川区間:500m間隔,改修河川区間:約1km間隔)し,水質分析をおこなった。その結果,T-N,NO_3-Nでは改修・自然河川に関わらず,流下にともない濃度低下する傾向にあった。しかしNO_2-N,NH_4-N,リン,SSでは改修河川区間で濃度が上昇し,自然河川区間で濃度が低下する傾向がみられた。とくに5〜6月にその傾向は顕著であった。 (2)同様に負荷についてみると,すべての項目で濃度ほど明確な傾向はないが,5〜6月に改修河川区間で増加し,自然河川区間で減少する傾向があった。このことかち自然河川区間おける浄化作用の効果には,日射や植生の活性状況,気温,水温などの季節的な影響が関係していることが推察された。 (3)自然河川区間からの流入負荷の影響を考慮した低減負荷量推定式を用いて自然浄化作用の定量化をおこなった。その結果,負荷についてみると自然河川区間であっても浄化作用効果が十分に発現しているとはいえないことが認められた。またタイルを敷設し,有機物付着量から自然浄化作用について検討をおこなったが,明確な傾向はみられなかった。 以上が今年度の研究概要である。これまでのところ,湖沼と違って水の滞留が少ない河川では,自然浄化作用がそれほど大きくないという結果が得られた。また課題としていた水質変動のモデル化に関する検討は,現在進行中であり結果を示すには至らなかった。今後もこの件については継続する予定である。
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