Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
近年、哺乳類精細胞分化における熱ショック蛋白質(HSP)の重要性がクローズアップされ、新たなメンバーがクローニングされるようになった。しかし、その機能のみならず局在すら明らかになっていないものが多い。本研究では、新たにクローニングしたHSPファミリーのひとつであるラットSKD3を用いて、そのmRNAおよびアミノ酸構造及び精巣における局在といった基礎データを収集するとともに、機能の全貌を明らかにし、精子発生の分子機構を明らかにすることを目的とした。予備実験で行ったmRNAの精巣における局在および作製した抗体を用いたSKD3蛋白質の局在、mRNAの組織特異的発現パターン、腫瘍株化ライディッヒ細胞(LC540)におけるSKD3蛋白質の局在について再調査した。次に、真核細胞発現ベクターにSKD3遺伝子を組み込み、LC540細胞に導入した(電気穿孔法)。導入したLC540細胞におけるSKD3蛋白質の変動をwestern blottingにより解析したところ、発現量は想定されるよりも少なかった。これらの成果については論文報告した。さらにSKD3遺伝子を導入したLC540細胞の形態を光学顕微鏡を用いて観察した。結果、光学顕微鏡の解像レベルでは、遺伝子を導入していないLC540細胞との有意な違いは認められなかった。今年度は、さらに同LC540細胞を用いて、細胞内の各種ステロイド代謝酵素の変動を検討した。結果、SKD3には、ステロイド代謝を制御する作用がないように思われた。SKD3蛋白質のライディッヒ細胞における分布から考えて、SKD3は分子シャペロンとしての作用を強く持つ可能性が考えられた。
All Other
All Publications (14 results)