Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
平成13年度は、BALB/c老齢マウスのリンパ節由来自己細胞反応性γδ T細胞を中心に解析を行った。これまでの研究結果より、特にVδ5陽性T細胞株を用いて研究を行った。自己細胞に反応するVδ5陽性T細胞の生体における機能解析:Vδ5陽性T細胞株はBALB/c由来線維肉腫細胞であるMeth Aに対しても応答性を示す。そこで、若齢BALB/cマウスの右側背部皮下に、Vδ5陽性T細胞株とMeth Aを等量同時に接種し、腫瘍の生着度について検討した。実験対照にはBALB/c老齢マウス由来γδ T細胞亜集団を用いた。実験対照群では、Meth A単独接種と同様に100%近い腫瘍の生着が認められたのに対し、Vδ5陽性T細胞株移入群では腫瘍の生着率は20%以下であった。また、これらの反応は、宿主のCD8細胞を除去することにより、著しく生着率が増加した。Vδ5陽性T細胞株が直接Meth Aに対して障害活性を示すか否かについて検討したところ、CTL活性ならびにNK活性は認められなかった。一方、ケモタクティクスチャンバーを用いた実験において、上段にMeth AとVδ5陽性T細胞株、下段にMMC処理したMeth Aと若齢BALB/cマウス由来LN細胞とを入れて共培養した。下段より生細胞を回収し、CTL活性ならびにNK活性について測定したところ、上段にBALB/c老齢マウス由来γδ T細胞亜集団を入れた実験対照群に対して、Vδ5陽性T細胞株を上段に用いた方では著名なCTL活性およびNK活性が認められた。以上の結果より、自己細胞反応性Vδ5陽性T細胞は、直接的な腫瘍障害活性は持たないものの、間接的に宿主のCTL活性を誘導し、自己腫瘍に対して抑制的に働くことが証明された。今までの研究成果より、自己細胞反応性Vδ5陽性T細胞は、腫瘍細胞上の共通自己抗原を認識し、Th1型サイトカインを産生することにより、宿主の生体防御機構を担っていることが推察される。