Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1.チロシナーゼ機能抑制のドパミン神経障害への影響 昨年度の培養実験でチロシナーゼ阻害剤phenylthiourea(PTU)添加によるチロシナーゼ機能抑制によりドパミン神経障害が惹起されたので,本年度は動物でのチロシナーゼ機能抑制の影響について検討した.SDラットの片側黒質-線条体路にPTU(50 μg X2箇所)を投与し,7,14日目にアポモルフィンによる回旋運動の発現の有無を検討したが,有意な回旋運動はみられなかった.片側パーキンソン病モデルラットヘのlevodopa投与により障害側線条体で低下していたチロシナーゼ発現が増加したという昨年度の結果を併せると,チロシナーゼは正常個体でその機能が抑制されてもドパミン神経障害を惹起しないが,パーキンソン病線条体では治療により過剰となったドパミンを代謝し正常化すべく発現が増加することを明らかにできた. 2.パーキンソン病モデルラットにおけるチロシナーゼの神経機能補完作用に関する検討 チロシナーゼはそのチロシン水酸化酵素(TH)活性により低下したドパミンを補充すべくドパミン神経障害時に発現が増加することを昨年度明らかにした.そこで,チロシナーゼのパーキンソン病モデルに対するドパミン補完作用を明らかにするために,片側パーキンソン病モデルラットの障害側線条体に,チロシナーゼあるいはチロシナーゼ産生細胞(メラノーマB16F1 cell)を投与・細胞移植し,経時的にアポモルフィンによるによる回旋運動を評価し,脳内のドパミン発現の変化を検討した.線条体へのチロシナーゼ注入により回旋運動は,3,6日後に有意に低下し,線条体のドパミンも増加していた.また,線条体へのB16F1 cellの細胞移植により,7-14日後に回旋運動の低下がみられた.チロシナーゼがドパミン生成・代謝という二面性のドパミン維持機構を有するという昨年までの成果と併せると,このチロシナーゼのドパミン神経機能補完作用はパーキンソン病治療に応用できうるものとして期待できる.
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