Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
<研究の目的>マウスで、角層を剥離した皮膚に腫瘍抗原ペプチドを塗布することにより、腫瘍の拒絶や退縮といった腫瘍免疫を誘導できることが報告されており、免疫に用いる腫瘍抗原ペプチドの種類やアミノ酸の数により免疫応答が異なることも知られている。マウスの系で、メラノーマ抗原ペプチドの経皮免疫効果について検討した。<方法>tape strippingにより角層を剥離したC57BL/6マウスにB16マウスメラノーマの代表的抗原ペプチドであるTRP-2を塗布あるいは皮下注し、感作する。TRP-2は、免疫原性に差があるとされる、アミノ酸数の異なる2つのペプチドを用いた。2週間後に再び免疫した後培養メラノーマ細胞を接種し、腫瘍体積を経時的に測定した。<結果>1.tape stripping法により角層は十分に剥離されていたが、肉眼的および組織学的に、ペプチド塗布部位に強い炎症反応はみられなかった。2.腫瘍抗原ペプチドの経皮的免疫では腫瘍の増殖抑制および拒絶は認められなかった。3.腫瘍抗原ペプチドの皮下投与と経皮免疫の有効性の差はみられなかった。(どちらも効果がなかった。)4.ペプチドのアミノ酸数による差はみられなかった。5.以上の結果は抗原の種類を変えても変わりなく、手技の工夫(ペプチドの溶媒を変える、感作回数を増やす等)によっても同様であった。<結論>腫瘍抗原ペプチドによる経皮免疫は、マウスメラノーマの系において有効ではなかった。