交通事故後に発症する嗅覚障害の予後に関する実験的な検討
Project/Area Number |
12770963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Otorhinolaryngology
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大野 浩司 浜松医大, 医学部, 助教授 (90263277)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 嗅覚障害 / 嗅神経 / c-fos |
Research Abstract |
交通事故後に発症する嗅覚障害の予後に関する実験的な検討を行うため生後3週齢のラットの嗅糸を切断し、嗅神経再生後の匂い刺激に対するc-fos発現の変化を嗅球にて観察した。正常な状態では匂い刺激に対し、c-fos蛋白は嗅球の特定の糸球体周囲の傍糸球体細胞とその糸球体に関連した顆粒細胞に発現する。嗅糸切断後4週目のラットを還流固定し免疫組織化学的にc-fos発現を観察したところ、特定の糸球体周囲だけにc-fos発現がみられる非切断側の嗅球とは対照的に、切断側の嗅球では広範囲にわたる糸球体にc-fos発現が認められた。同時に顆粒細胞においてもほぼ全周にわたってc-fos発現が認められた。正常ラットで観察される限局した糸球体周囲でのc-fos発現は匂いが嗅球において識別されていることを示しているが、嗅糸切断後に観察されたランダムなc-fos発現は、匂いは感知されるが識別はできないという状況を表わしているものと思われた。さらに切断後8週目のラットにおいてもその状態に変化はなく、ラットでは少なくとも嗅糸切断後2ヶ月経過しても正常の嗅覚には回復しないことが予想された。本研究の結果は、切断された嗅神経は再生するが嗅球への投射が切断以前とは異なった様式になることを示唆している。臨床的に頭部外傷後全てが同じ匂いに感じられるという症状を訴えるケースがあるが、本結果は頭部外傷後嗅覚障害の病態を説明するうえで有効な情報になるものと思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)