Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
毛包形成には他の上皮間葉系器官同様様々な液性因子や細胞外マトリックス成分が関っていると考えられている。本研究はマトリックス成分のうち基底膜構成因子のひとつであるラミニンに焦点を合わせ、外胚葉由来上皮からなる毛包の形成過程でのラミニンの役割を、ラミニン由来の細胞接着活性ペプチドを用いて検討したものである。胎生13日目マウスからヒゲ毛包原基を1個単離する無血清器官培養システムを確立した。このヒゲ毛包原基単離無血清器官培養系を用いて、40個以上のラミニン由来細胞接着活性ペブチドがヒゲ毛包嘩長とその分化にどのような役割を果たすのかについて調査を行った。結果として、今回調査した細胞活性ペプチドのなかでラミニンα1鎖カルポキシル末端のGドメイン部のLG-4モジュールに存在するRKRLQVQLSIRTシークエンスを持つペプチド(以下AG-73と呼ぶ)のみがin vitroにおいて毛包の成長を抑制することが明らかとなった。AG-73ペプチドで処理されたヒゲ毛包原基では、完全なhair bulbの形態形成が認めらなかった。AG-73ペプチドは基底膜の構成因子であるラミニン由来であることから、培養毛包における基底膜の変化に注目した。AG-73ペプチドで処理された毛包には連続した基底膜構造は認められず、上皮細胞の基底部から細胞質が突出する像が多数認められ、アクチン線維の出現も認められた。AG-73ペプチドは、細胞膜貫通型ヘパラン硫酸プロテオグリカンであるシンデカン-1の細胞表面に結合して、ヒゲ分化における上皮系細胞と間葉系紳胞の相互作用を抑制すると考えられた。またラミニンα1鎖が上皮組織が間葉系細胞へ貫入するstage以降には毛包上皮組織の遠位端領域の基底膜にその発現欠損が認められることについても今回確認した。
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