Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究はTCA回路を構成する有機酸を用いたリシ酸カルシウム系セメントの生体反応性と臨床応用を考慮した場合の操作性の改善,X線造影性の付与ならびに液成分を高分子化することによる物性の向上を計ることを主眼として行った. 生体反応性について検討を行う前に,X線造影性の付与について検討を行った.X線造影性については,α-TCP粉末と構造が類似したα-リン酸3ストロンチウム(α-TSP)を使用することにした.α-TCPとα-TSPを混合した粉末とクエン酸を用いたセメント硬化体について検討を行った.その結果,α-TSPの混合比率を増加させるとX線造影性が増加した.物性についてはα-TSPの混合比率が増加すると硬化時間は延長し,圧縮強さに関してはα-TCPとα-TSPの混合比率が9:1までは圧縮強さに有意な変化は認められなかった.従って,α-TCPとα-TSPの混合比率が9:1までは物性を変化させることなくX線造影性を付与することが可能であることが判明した.この混合粉末を用いたセメント硬化体をイヌの大腿骨の一部を切除した部分に填塞し,経時的にセメント硬化体がどのように変化していくかについては現在,観察中である.さらに,液成分の高分子化を行い,セメント硬化体の物性なちびに操作性の改善を試みた.液成分にはセメント硬化体が得られたリンゴ酸を用いた.このリンゴ酸を高分子化し,ポリリンゴ酸を合成し,セメント硬化体の物性の測定を行った.その結果,リンゴ酸を高分子化したポリリンゴ酸を用いることによりα-TCPセメントの物性は同程度もしくは低下する傾向を示し,当初,予想していた物性の向上は得られないことが判明した.しかしながら,練和感に若干の改善が認められた.従って,ポリリンゴ酸とリンゴ酸ではα-TCPとの反応機構に相違があることが推測され,さらなる検討が必要であることが示唆された.
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