Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
本研究では過去には明らかでなかったニコチンがアポトーシスに与える影響について検討を加えた。アポトーシスの誘導にはUVを用い、誘導されるアポトーシスをDNAの断片化、シトクロムcの細胞質への放出、カスペースの活性化を指標にニコチンの影響を調べた。その結果、ニコチンはシトクロムcの細胞質への放出、カスペースの活性化、DNAの断片化というアポトーシスの経路をシトクロムcの細胞質への放出の段階で抑制することが示された。また、前年度の研究ではH2O2によるアポトーシスの誘導をニコチンが抑制し、ネクローシスが誘導されることが示されており、様々なアポトーシスの誘導因子の効果をニコチンが抑制することが示唆された。本結果から、喫煙による発癌の一因にこのようなニコチンのアポトーシス抑制効果が関与することが示唆された。また、炎症反応においてもアポトーシスがネクローシスに変化することによって、炎症反応による組織破壊が亢進し、歯周病などの炎症性疾患の症状を憎悪させる可能性も示された。なお、本研究結果はToxicol Lett 2001 Dec 15;125(1-3):61-5に掲載されている。
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