酸化的ストレスの防御と増幅に対するセレンの役割に関するESRによる無侵襲解析
Project/Area Number |
12771386
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical pharmacy
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松本 謙一郎 昭和薬科大学, 薬学部, 助手 (10297046)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | セレン / 酸化的ストレス / グルタチオンペルオキシダーゼ / 過酸化水素 / 電子スピン共鳴 / 無侵襲測定 / ニトロキシルラジカル / ラット / セレン欠乏 / in vivo ESR / 活性酸素 / 無侵襲 |
Research Abstract |
前年度の研究によりセレン欠乏ラットではin vivoスピンクリアランスが低下しており、これは活性酸素の発生よりもむしろ生体内総合還元力の低下を示しているものと結論した。しかしながら本年度になって、セレン欠乏ラットでは正常ラットに比べて胆汁中過酸化水素量が有意に上昇することがわかってきた。またセレン欠乏ラットに酸素曝露を行った場合、スピンクリアランスが更に低下する傾向が見られた。 過酸化水素は酸化剤であり、生体内で還元を受けたスピンプローブを再酸化する可能性がある。即ちセレン欠乏下で生じている酸化的ストレスは、in vivoスピンクリアランスを低下させる可能性が憂慮された。そこで本年度の当初の予定を変更し、過酸化水素がスピンクリアランスに及ぼす影響を調査した。その結果、セレン欠乏ラットにおけるin vivoスピンクリアランスの低下には、過酸化水素によるスピンプローブの再酸化が影響していることがわかった。 また本年度は、生体内抗酸化系の中で働く遷移金属元素とセレンとの関連を調べる目的で、中性子放射化分析法およびマルチトレーサー法により、セレン欠乏ラット生体内における微量元素の動態解析を行った。その結果セレン欠乏ラットでは、肝および脾での鉄含量の増加、および主な臓器での亜鉛含量の低下、肝臓でのコバルト取り込み率および排泄率の低下が観察された。セレン欠乏状態によって与えられる酸化的ストレスには、他の金属あるいは金属酵素との相互作用も影響を及ぼしている可能性が予想された。 本研究で当初から目的としていたセレン過剰による酸化的ストレスの発生の有無を検討するには至らなかったものの、in vivoスピンクリアランスは生体内の過酸化水素の増加により低下することから、スピンクリアランスの低下から生体内での過酸化水素の発生を無侵襲評価できる新たな可能性を示すことができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)