タンパクキナーゼによる大脳皮質視覚野の可塑性調節機構の解明
Project/Area Number |
12780622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
神経・脳内生理学
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 真之 阪大, 歯学研究科(研究院), 助手 (00300830)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | タンパクキナ-ゼA / タンパクキナーゼC / アドレナリン受容体 / Isoproterenol / Propranolol / Phenylephrine / db-cAMP / シナプス伝達効率 |
Research Abstract |
タンパクキナーゼによるシナプス伝達効率の調節機構を解明するため、ラット大脳皮質視覚野のスライス標本を用いて5層の錐体細胞から細胞内記録を行った。β-アドレナリン受容体を刺激するとタンパクキナーゼA(PKA)が活性化され、α_1-アドレナリン受容体を刺激するとタンパクキナーゼC(PKC)が活性化されることが知られている。Isoproterenolの潅流投与によってβ-受容体を活性化すると、記録細胞周辺を電気刺激することによって誘発される興奮性シナプス後電位(EPSP)の振幅が増大した。この効果は、同受容体アンタゴニストであるPropranololを先に潅流投与すると認められなかった。一方、Phenylephrineの潅流投与によってα_1-受容体を活性化するとEPSPの振幅が増大し、同受容体アンタゴニストであるPrazosinを先に投与すると、この抑制効果は認められなかった。従って、βおよびα_1-受容体刺激によるEPSPに対する効果の違いは、活性化するタンパクキナーゼの違いによる可能性が考えられた。そこで、膜透過型cAMPであるdb-cAMPを潅流投与することによってPKAを活性化するとEPSPの振幅は増大し、IsoproterenolをPKAの阻害剤であるH-89と共に潅流投与するとEPSPの増大効果は認められなっかた。又、PKAの不活性化を阻害するR020-1724を潅流投与した後Isoproterenolを投与すると、EPSPの増大率はIsoproterenol単独投与時と比較して約2倍であった。一方、Pholbol EsterによってPKCを活性化するとEPSPは減弱し、PhenylephrineをPKCの阻害剤であるChelerythrineと共に潅流投与するとEPSPの抑制効果は認められなかった。 以上のようなPKAおよびPKCによるEPSPに対する修飾効果は、薬物を洗い流した後、少なくとも20分以上続くことから、タンパクキナーゼが長期的なシナプス伝達効率を変化させて大脳皮質の可塑性を制御している可能性が示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)