図書館を素材とした教育福祉法学の学問的可能性に関する研究
Project/Area Number |
12872005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Social law
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
木幡 洋子 青森県立保健大学, 健康科学部・社会福祉学科, 助教授 (50315561)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 病院図書館 / 患者図書館 / 教育福祉 / 教育人権 / 医療情報 / 自己決定 / 学校図書館 / 福祉権 / 生涯学習社会 / 情報化社会 |
Research Abstract |
本研究は、高齢社会と生涯学習社会の到来という社会の変化のなかで、社会保障の役割が自立を促進するものへと重点を移さざるを得ないということを前提としたとき、人権保障のためには福祉と教育を統一した保障領域が必要であるという仮定に基づいている。それは、換言するなら、自己決定能力を備えた主体的な国民となるだけの教育の保障が、国民本位の福祉にとって不可欠であるということでもあった。 こうした仮定の実証および教育と福祉を統合させた法領域の発展の可能性を探求するため、本研究では、患者が医療に対して自己の見解を形成する上で有意義であり、権利論としては教育権保障の範疇と考えられる病院/患者図書館の実態を、海外の図書館先進地域(メルボルン・ハワイ)及び国内の先進的実践病院(京都南病院・東大付属病院・聖路加病院・静岡ガンセンター)とを調査比較し、その異同と日本における課題を抽出した。その結果、海外先進地域においては図書館を一人ひとりの意見形成のツールと捉え、国をはじめ他者に対する自己の要求を明確にするために必要不可欠なものとして整備が進められているのに対し、日本では読書の楽しみといった文化的側面が強調されて整備されているという違いが見られた。なお、こうした相違については、『医療情報と患者の人権』として青森法政論叢第4号(2003年8月刊行予定)において公表する予定である。 本研究の萌芽的研究の特徴である「教育福祉法学の展開の可能性」については、福祉を受動的なものではなく能動的で主体的な自己決定によりその内容を選択すべきものと捉えるという、時代的な概念の転換のもとに大きな可能性があることが、患者調査から窺うことができた。「主体性」の定義を、「情報をもとにした自己決定と主権者としての国や地方白治体への要求を求める能力」と定義し、実態調査に基づいた国民の要求と満足を指標にして実証的に権利・義務論を展開することで教育福祉法学は実学としても展開の大きな可能性を持つことが明らかであり、各論としての研究を今後は積み上げていくことが課題だといえる。
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Report
(3 results)
Research Products
(8 results)