Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1.量子計算と量子測定は密接に関連した概念であるが,その関係は未だ十分に解明されたとはいいがたい.ニールセンは,ある種の観測量の測定可能性からある計算不可能関数の計算可能性が導けるので,測定可能性の概念を弱める必要性があると指摘した.本研究では,有限精度の測定可能性の概念を新たに導入することにより,ニールセンの指摘したジレンマを解消すると共に,この測定可能性の新しい概念のもとで,任意の観測量が測定可能であることと,チャーチ・チューリングの意味で計算可能な関数のクラスが機能的関数のクラスに一致することを示した. 2.量子情報処理の精度の限界を調べるために次の研究を行った.誤差作用素と保存量の間の不確定性関係から一般測定相互作用の誤差の下限が得られることを示した.この下限はウィグナー,荒木,柳瀬による非撹乱的な測定の測定精度が保存則によって制限されるという主張を一般の測定相互作用に拡張すると共に,柳瀬によって得られたスピン測定の測定誤差の下限を改良するものである.この精度の限界は,プローブが再現的に繰り返し測定可能である限り,プローブが非常に大きな保存量を持つことを要求している.巨視的な測定装置の場合は,この制限は深刻なものではないが,量子計算機め計算素子において実行される測定相互作用に当てはめた場合には,小さくて正確な量子計算機の実現に対する深刻な障害と考えられる.
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