Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2001: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究課題では,おもに等質ジーゲル領域上の調和解析を,そこに単純推移的に作用する分裂可解リー群を通して研究した.平成13年度は,ポアッソン核の調和性と,それに伴うジーゲル領域の幾何学的な性質を追究し,ジーゲル領域のシロフ境界の計量幾何学的な性質が,核の調和性に決定的な影響を及ぼしていることを解明した.すなわち,セゲー核に付随するCayley変換を考えると,Poisson核の調和性が,シロフ境界のこのCayley変換による像がある球面上にあることと同値であることを示した(幾何学的ノルム等式の成立).さらにこのノルム等式の成立と領域の対称性が同値であることを示すことにより,ポアッソン核の調和性と領域の対称性が同値であることを示した.この研究成果は,本科学研究費補助金による渡航費で,2001年10月にアメリカ合衆国カリフォルニア大学の研究所MSRIで開かれた国際研究集会,及び2001年12月にオランダ王国Twente大学で開かれた国際研究集会で発表を行なった.学術論文Geometric connection of the Poisson kernel with a Cayley transform for homogeneous Siegel domainsとしてまとめ,現在投稿中である.上述のCayley変換や,昨年度に取り扱った.Bergman核に付随するCayley変換,及び数年前にPenneyが導入した凸錐の特性函数に付随するCayley変換を一般化して,認容線型形式をパラメタとするCayley変換の族を考えて,これらのCayley変換の性質について詳しく調べた.その成果を学術論文としてまとめ,学術雑誌Diff.Geom.Appl.に投稿し,受理されている.2002年中に出版される. 研究分担者の伊師英之は,等質ジーゲル領域上の行列式型微分作用素の研究を行ない,その成果をJ.Funct.Anal.から出版している.さらに有界等質領域の行列実現の研究も行ない,現在その成果を学術論文として執筆中である.研究代表者の仕事の一部を大変簡明にする研究である.さらに分担者梅田亨は,共同研究者伊藤稔との研究で,不変微分作用素の代数的研究について著しい成果をあげ,学術論文として刊行している. 本研究課題の重要な成果の一つでもある.
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