Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Research Abstract |
本年度は,遷移金属酸化物の熱電特性の評価を行った.特に最近,Co酸化物が注目を集めていることから,(Ca_<1-x>Bi_x)_3Co_4O_9,(Ca,Sr,RE)_<n+2>Co_<n+1>O_<3n+3>,およびRECoO_3を選択し、それぞれの物質に対して詳細にゼーベック係数や電気伝導率のバンド幅やドープ量依存性の評価を行った.また,Mn酸化物であるREMnO_3とRE_3Mn_2O_7に対して光電子分光法により電子構造を解明し,大きなゼーベック係数を発現する可能性を考察した.(Ca_<1-x>Bi_x)_3Co_4O_9,(Ca,Sr,RE)_<n+2>Co_<n+1>O_<3n+3>およびRE_3Mn_2O_7は2次元的な伝導面を有している.一方,RECoO_3とREMnO_3は3次元的な伝導を示す.これらの物質群の示す熱電特性を比較することにより,熱電特性に及ぼす次元性の効果を議論した. キャリアーをドープしていないRECoO_3は高いゼーベック係数を呈するが,絶縁体的な電気伝導特性を示す為,熱電変換材料として適していないと判断された.しかし、この系にわずかにキャリアを注入すると,ゼーベック係数と抵抗率は双方ともに低下するが,比抵抗の低下率がゼーベック係数の低下量よりも遥かに大きく,熱電変換材料として有望であることが判明した.一方,(Ca_<1-x>Bi_x)_3Co_4O_9,(Ca,Sr,RE)_<n+2>Co_<n+1>O_<3n+3>では高い熱電特性を示す試料を発見するには至らなかった.Mn系酸化物では,3次元的なREMnO_3,2次元的なRE_3Mn_2O_7共にフェルミレベル近傍に状態密度の落ち込みが存在することを明らかにした.このような状態密度の落ち込みは擬ギャップと呼ばれ,擬ギャップがフェルミレベルに存在すると,大きなゼーベック係数を発現する可能性が極めて高い.すなわち,擬ギャップをフェルミレベルに有するMn酸化物は,熱電変換材料として利用できる可能性が高いと判断した.本研究では,2次元材料の3次元材料に対する優位性を示すには至らなかったが,上記に示した通り,電気伝導性遷移金属酸化物が熱電変換材料として極めて有望であることを明らかにできたと考えている.
|