Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Research Abstract |
現在,ガラスは光学部品に欠かすことのできない重要な材料である.とくにマイクロデバイスや光通信の分野では,ガラス部品の局部に精密微細加工を施す要求が出され,その要求も年々厳しいものになってきている.今後,この要求に答えるには成形後のガラスに対して,自由度の高い精密微細加工を実現することが不可欠である. 本研究ではガラス表面局部に超精密微細加工を施すため,膨張係数の温度依存性を利用した新しいレーザ精密微細加工法を提案した.本研究の主目的は,この新レーザ精密微細加工法の実現である.具体的には本膨張現象の基礎特性を理論的および実験的に十分把握した後,以下の4項目について実現を目指した. (1)μmサイズの球面形状凸部を高精度に形成し,ガラス基板上に多数のマイクロレンズを製造すること. (2)凸部を2次元に展開し線状の凸部マーキング,さらに凸部を多段に形成し3次元の構造物を構築する. (3)凸部はレーザ照射時に軟化しているため,刻印技術を複合して様々な形状の微細凸部形状を創成する. (4)非球面レンズやフレネルレンズなどをガラス基板上に高精度に創成する 本研究では、レーザ照射によって照射部の温度が急上昇し、転移点に達すると線膨張係数が急激に増大することを見出した。温度コントロールは比較的容易であり、(1)のマイクロレンズ製造が高精度に実現できた。熱拡散状態を考慮すれば曲率を変化させることも可能であることが明確になった。(2)を達成するために、レーザ加工装置にガルバノミラーを付加し、ビーム走査を可能とした。その結果、蒲鉾状の凸部形成が可能となり、マイクロ化学パーツなどへの応用が可能であることを確認した。さらに凸部上にさらに凸部を形成する多段形状を創成することも可能となった。(3)レーザを照射している間はガラスの軟化が確認できたため、刻印装置を開発し、凸部への刻印を試みた。その結果、平凸形状や刻印パターンを転写して様々な形状を創成することに成功した。(4)非球面レンズやフレネルレンズに関しては、型の製作が間に合わず、達成できなかった。しかし、ビーム走査装置を利用すれば、本加工法は新たな可能性を有していることがわかった。すなわち、ビーム走査パターンを様々に変化させて走査すれば、様々な形状を有する"面の隆起"が生じることを実証した。これにより、レンズばかりではなく、反射鏡や導波路など様々なマイクロ光学パーツが製造できることが分かった。 以上より、本研究も目的は十分達成できたものと言える。今後、レーザ照射によるガラスの本膨張現象を利用すれば,ガラス局部に微小光学部品やマイクロデバイスなどの3次元微小構造物,微細マーキングや機能を有する微細表面模様などが容易に創成できることが期待される.しかも,従来の成形加工のようにガラス全体を加熱する必要がなく,ガラス全体に歪みを残さず安定した自由度の高い超精密微細加工が実現できるものと期待される.
|