Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2001: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究においては,大学1年生300名を調査対象とし,「ポートフォオリオ作成を組み込んだ読み書き統合プログラム」の教授学習効果を調査した。研究課題は以下の通り。 (1)ポートフォリオ作成により,学習者の総合英語能力に向上が見られるか。 (2)ポートフォリオ作成に適しているのは,どの程度の言語レベルの学習者であるか。 (3)精度の高い標準テストの使用により,向上の程度は査定できるのか。 (4)内省タスクを組み込む場合とそうでない場合,学習者の作成するポートフォリオの質に差異が見られるか。 (5)ポートフォリオ作成過程に男女差が見られるか。 (6)ポートフォリオに含む資料の数を制限するべきか。 (7)1学年の間に何度ポートフォリオを作成・提出するのが効果的であるか。 本年度は,上記研究課題について平成12年度に実施した調査のデータを整理し,統計的処理を行い,質的分析手法も取り入れ,調査結果についての議論を進めた。その際に,内外における先行文献を入手し精密に研究し,理論的基盤確立に努めた。また,調査結果に基づき本研究の教育的意義について議論を深めるため,本研究分野における先駆的研究者であるDr.Oxfordを招聘して実施されたJACETの夏季研究会に参加し,内外の研究者と情報交換を行った。さらに,研究の理論的枠組みについての議論及び調査結果を「日本教科教育学会」,「日本比較文化学会」等全国誌に発表し,その他複数の国際学会誌に論文を投稿した。 調査の結果,ポートフォリオ作成は,英語読み書き統合プログラムにおける教授ツールとして有効であることが示され,その有効性は,理論的基盤として提示されたヴィゴツキー発達理論における「媒介」,「歴史」,「内省」といった概念に基づくものであることが,明確に示された。 また,本研究によりポートフォリオによる自己評価の重要性が副次的に示されたことから,評価の手段としてのポートフォリオについて考察することの意義が見直され,従来の評価論にも新たな可能性を提供することとなった。
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