Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は人工知能の難問であるフレーム問題の原因と見なされる現代記号論理の完全記述指向の問題に焦点を絞り、論理主義自体は否定せず、問題の原因をフレーゲによる述語論理の革新に求め、それ以前のアリストテレスの三段論法と比較、考察して、完全記述を要求しない推論システムを構成する事である.本年度は,まず,昨年度の考察結果である相対的ろ過法による商モデルの上近似と下近似がそれぞれ,述語論理の全称,存在命題を表現する事を示し.これに基づいてgranular推論と呼ぶメカニズムを構成した.そこでは,原初的に与える原子命題群に基づく可能世界集合を最も細かい粒度(granularity)を持つとし,ろ過法を適用する度に,商モデルを構成するため同じ性質を持つ世界が纏められ,粒度が粗くなると考える.相対的ろ過法を適用すると対象の粒度が粗くなるのでズーム・アウト,その逆の操作はズーム・インと見なせるため,提案推論法を別名,ズーム推論と呼ぶ.次に,提案推論法を実現する試作プログラムを本研究費で購入したパソコン上で実現した.使用言語はVisual C++で,マルチ・ウィンドウを駆使して各時点で対象とする世界の粒度をズーム・イン,アウトの感覚で表現できる.本システムで実験した結果,フレーム問題に関係して,集合の存在に基づく定義の重要性を指摘できる.商集合を作る際,外延的な集合論では各同値類に属する元を完全に列挙する必要があり,これがフレーム問題の源である.しかし,提案推論法では,与えられた元を含む同値類が存在するという事実のみ利用しており,その同値類が具体的にどのような元から構成されるかは無関係である.これは従来の集合の外延的定義が不必要に強い要請である事を示す.よって,外延的に定義された集合と,存在のみ保証された集合を区別して,推論を定式化しなければならないのである.
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