核統計的平衡の概念を用いた原子力システムと宇宙元素合成過程との比較分類研究
Project/Area Number |
12878082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Nuclear engineering
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大崎 敏郎 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (80262327)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井頭 政之 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (10114852)
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Project Period (FY) |
2000 – 2001
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2001)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 原子力システム / 宇宙元素合成 / 核統計的平衡 / 準核統計的平衡 / 高速炉 / 原子力 / S-過程 |
Research Abstract |
原子力システムにおける核反応現象と宇宙における核反応現象である元素合成過程との比較を、核統計的平衡等の概念を用いて引き続き行った。 平成12年度では、核統計的平衡の概念を用いて、宇宙における元素合成過程と同様に原子力システム内での核反応現象の理解を試みた。しかし、厳密に核統計的平衡が成立するためには、原子核内の核子が全てバラバラに分解出来るほど高温である必要がある。そのためには最低6億度、即ち600keV必要である。一方、原子力システムの中でも高エネルギーである高速炉においても、エネルギーは高々200keVであり、高速炉内での平衡分布を再現するのに核統計的平衡を用いるべきでなかった。 そこで、今年度は、核統計的平衡より低温でも成立する準核統計的平衡の概念を用いて、高速炉内の核反応現象との比較を行った。準核統計的平衡では、原子核内の核子が全てバラバラに分解出来るほど高温である必要はなく、原子核の外周部の核子が分離出来る程度で成立する。しかし、準核統計的平衡も400keV以上でないと成立せず、高速炉内でこの平衡が成立するとは言い難い。本研究では、準核統計的平衡を計算するプログラムを作成し、計算された平衡分布と高速炉内の核分裂生成物の平衡分布との比較を行った。その結果、高速炉内平衡分布に存在する中性子魔法数N=50に起因するピークは、準核統計的平衡分布でも再現できたが、高速炉平衡分布内の中性子魔法数N=82に起因するピークは再現できないことが分かった。 高速炉内平衡分布等、原子力システム内での核反応現象を再現するためには、恐らく、より低い温度で成立する統計平衡状態あるいは非平衡状態を必要とし、核統計的平衡とは離れたものである。従って、核統計的平衡が比較的成り立つ宇宙での元素合成過程は、原子力システム内の核反応過程とはあまり類似しているとは言い難いと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)