Project/Area Number |
12F02064
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Electron device/Electronic equipment
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI Hua 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2012)
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Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2012: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | テラヘルツ / 量子カスケードレーザ / トンネル効果 |
Research Abstract |
近年、量子カスケードレーザはテラヘルツ(THz)領域の光源として注目されている。量子カスケードレーザは非常に精密な多層構造の設計により作製されるが、その動作、特に層間のトンネル伝導に関して十分な理解がなされているとは言い難い状況にあり、素子の高性能化を目指すためには、量子カスケード構造の伝導ダイナミクスの理解が不可欠である。本年は、量子カスケードレーザの伝導の理解のために以下の2点について検討を行った。 1)量子カスケードレーザ構造の自己無撞着バンド計算と電流一電圧特性の予測: THz領域の量子カスケードレーザでは、サブバンド間のエネルギー間隔を数meV程度の精度で設計する必要がある。しかし、素子にドーピングを行うと、電子の蓄積やドナーの空間分布によりバンド曲がりが生ずる。本研究では、適切な境界条件を設定することにより、量子カスケードレーザ構造のバンド計算を自己無撞着に行い、バンド曲がりの程度を評価するとともに、バンド曲がりが小さくなるような指針を与えることができた。さらに、上記のバンド計算で得られた各層の波動関数の情報を元に、密度行列の手法を用いて、量子カスケードレーザの電流一電圧特性の理論計算を行いつつある。 2)量子カスケードレーザ構造の精密な電流一電圧特性の測定とTHz電磁波照射の影響: 本研究では、繰り返し数10ユニットで、メササイズが10ミクロン角の微小素子を作製し、精密な電流電圧特性の測定を行った。特に、発振している量子カスケードレーザ中ではキャビティ中の強いTHz電場がサブバンド間の誘導放出を引き起こし、電子伝導に大きな影響を与えていると考えられる。我々は発振中のレーザを模擬するために、アンテナ構造を集積化した素子に、外部より遠赤外レーザの光を照射し、その電流一電圧特性の変化を調べ、特徴的な電流変化が観測され始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ量子カスケードレーザ構造の設計に関する簡便な理論的指針ができた。また、まだ成果にはなっていないが、電子伝導のダイナミクスに関して独創的な取り組みが開始できたことなどにより、研究は順調に進捗していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験的には、第1年度に開始できたテラヘルツ電磁波照射下における量子カスケード構造の伝導研究を継続する予定であるが、平成25年度の早い時期に外国人特別研究員のLi氏がパリ第VII大学に転任するために、研究室の他のメンバーで引き継ぐ予定である。
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