日常実践としてのノマディズム-狩猟採集民ムラブリの「不合理な遊動」を手がかりに-
Project/Area Number |
12J02195
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
二文学屋 脩 (2013) 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
二文字屋 脩 (2012) 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ムラブリ / ノマディズム / 不合理な遊動 / 狩猟採集民 |
Research Abstract |
本研究の目的は、タイ北部に暮らす(元)遊動狩猟採集民のムラブリを対象に、ノマディズムの社会文化的意味とそのダイナミックな様態を明らかにすることである。とくに本研究では、狩猟採集活動に対して副次的な位置づけにあったノマディズムのなかでも、経済的・生態学的要因からでは説明が困難な「不合理な遊動」とも言える実践に注目することで、社会文化論的視座から新たな解釈枠組みの提示を目指している。平成25年度は前年度に引き続き、タイのナーン県とプレー県にて長期に渡る実地調査を行った。ムラブリ語を主な調査言語として使用し、定住化の過程とそれに伴う社会変化について調査を行い、様々な遊動のあり方について参与観察を行った。とくにムラブリの定住村での長期にわたる参与観察から、遊動の形態がバンドを中心としたものから個人や核家族を中心としたものへと変化していること、定住村内での小規模な遊動と他の定住村への遊動の頻度が以前に比べて増していること、そしてこのような現状がタイ政府や近隣農耕民との政治経済的なインタラクションや生活様式の変化の所産であることが明らかとなった。とくに参与観察を通じて、「不合理な遊動とも言える、一見すると経済的なメリットがない、定住村間や村内での頻繁な居住地の変更について、その動機や社会的背景に関する質的データを収集することができたと考えている。そして聞き取り調査などから、そうした日常的に行われる遊動実践の社会文化的意味が、「場所の変更」ではなく「環境の刷新」にあることが明らかとなっており、こうした遊動実践によって生み出されるムラブリの社会組織が、不安定に見えながらも個人を単位とした社会成員相互の社会的紐帯を維持する重要な役割を担っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、交付申請書に記した研究目的と研究方法に沿って研究を進めることができたと考えている。とくに前年度にタイ国内の研究機関で収集した文献資料や、フィールドワークによるムラブリに関する基礎的データに基づき、質的データができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は文献資料の収集や長期の参与観察に徹し、それに基づき平成25年度は社会関係に関してより詳細なデータを得る事ができたが、今後もまた継続して参与観察と聞き取り調査によるデータの収集を行う必要がある。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)