Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2013: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2012: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究では、溶液中での化学反応の進行に重要な役割を示す溶媒和過程において、溶媒分子の空間的配置に関する情報を得ることを目的としている。 分子構造の対称性が異なる種々の溶質を用いて、超高速時間分解分光法による溶媒和ダイナミクス測定を行なった。基底状態での溶媒分子配置や、励起状態での分子内電荷分離反応の速度を制御することで、イオン液体中での溶媒和ダイナミクスを詳細に観測し、その空間的配置に関しても示唆する結果が得られた。(Photochem. Photobiol. Sci., 2013, 12, 1885-1894., およびJ. Sol. Chem., 2014, accepted.) また、溶液中での空間的構造に関する情報を得るための簡易な手法の開発を目的とした実験を行なった。現段階では光学顕微鏡を用いており、スケールの違いから直接的に溶媒和構造の推定につながるものではないが・光捕捉された数十nmサイズのナノ粒子群の、溶液中での動的挙動の観測をおこなっている。フェムト秒パルス光を用いた場合、CW光に比べて遥かに高効率に粒子が捕捉され、集光点から捕捉された粒子が噴出する特異な挙動が観測された。この粒子の噴出過程には、集光点でナノ粒子の過渡集合構造が形成されることが重要な役割を果たしていると考えられている。これまでに、捕捉光パルス間の遅延時間や・偏光方向の時間的変化を調整することで、ナノ粒子の捕捉効率や空間的構造の動的変化を部分的に制御することに成功しており、電場の時間的変化が溶液中での局所構造の形成に与える影響が示されている。このような性質は、構造のスケールの違いは存在するが、溶媒和ダイナミクスにおける溶媒分子の空間配置とも深く関連していると考えられる。 以上のように本研究により、溶媒和ダイナミクスを理解する上で重要な情報となる、溶媒の空間的配置を推察するための重要な結果が多角的に得られた。
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