ドイツの有価証券論の経済学的継受における近代的無記名証券のユダヤ法起源説の影響
Project/Area Number |
12J02695
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
恒木 健太郎 専修大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Project Status |
Declined (Fiscal Year 2013)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2013: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2012: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | 正義 / 有価証券論 / ゾンバルト / 大塚久雄 / 商人=パラサイト / ブレンターノ / 反ユダヤ主義 / ユダヤ法 / 譲渡 / サヴィニー |
Research Abstract |
本研究における研究実施状況については、以下の3点にまとめられる。 1 〈商人=パラサイト〉説の是非をめぐる経済学してき論争と反ユダヤ主義の関係 昨年フランクフルト大学図書館で発見した雑誌資料の詳細な検討を、大塚史学の生産優位主義と比較しながら行い、研究発表した。ブレンターノはリカードの比較優位論に基づきく商人=パラサイト〉説を否定した。ゾンバルトは剰余価値の源泉を独立生産者の生産物と労働者階級のそれに求め、ブレンターノの単純な商業資本主義論を批判した。大塚は〈商人=パラサイト〉説を全面的に支持した。三者の議論はドイツでのユダヤ法理解の経済学史的背景にく商人=パラサイト〉説の問題があったことを示している。 2 ユダヤ法論をめぐる稀覯文献の発掘 北海道大学図書館において、ゾンバルトが近代的有価証券のユダヤ法起源説の根拠とした文献を発見した。これは「他所者」迫害と財産隠匿との関係に着目するゾンバルトの資本主義観を精密に解明する上でも重要な資料である。Stracca, Benvenuto, De mercatura, cambiis, sponsionibus, creditoribus, fidejussoribus, debitoribus, decoctoribus, navibus, navigatione, assecurationibus, subhhastationibus, aliisque mercatorum negotiis, rebusque ad mercaturam pertinentibus, decisiones & tractatus varii. Ad quorurn calcem nunc accessere ejusdem Benevenuti Stracchee de assecurationibus, proxenetis, atque proxeneticis, tractatus duo, Apud Joannem Schipper, J. F., 1668-1669, Novâ hac editione... 3 ドイツのユダヤ系知識人の系譜とナチズム 本研究テーマの外延をなす、反ユダヤ主義の高揚と「正義」の無制限化との関係について、ナチス期に亡命したユダヤ系知識人であるシュテファン・ツヴァイクとエーリヒ・フロムのカルヴァン像およびルター像について検討した。熱狂的な排外主義と規律化への臣従についての社会学的考察は、2.で述べたゾンバルトの議論を理解するうえで重要かつ有益である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に刊行した拙著『「思想」としての大塚史学――戦後啓蒙と日本現代史』(新泉社)への書評に対するリプライや関連報告に追われ、かつ経済学史専任教員就職のための模擬講義の準備に追われたため、経済学史方面の研究は進展したものの、法学と経済学とを関連づける本来の研究テーマはあまり進展させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より基盤研究(B)「『ユダヤ自治』再考――アシュケナージ文化圏の律的特性に関する学際的研究」(研究代表者 : 赤尾光春)の研究分担者となるため、今年度実施予定であった19世紀におけるユダヤ市民法研究史において近代的有価証券のユダヤ法起源説に影響を与えたと思われる主要論者たち、とりわけレオポルト・アウエルバハ『ユダヤ的債権債務法』の検討を中心に進めていくつもりである。アウエルバハは自己のユダヤ的債権債務法論を構成するにあたり、サヴィニーの歴史法学の方法から強い影響をうけると同時に、経済学史的にはアダム・スミスやヴィルヘルム・ロッシャーを何度も参照していることから、かれが経済学的議論をどのように受容したのかも検討課題である。以上をとば口に、法学概念の経済学的解釈におけるユダヤ法論の役割を明らかにしていきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)